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皇后陛下傘寿記念 皇后さまとご養蚕 宮内庁協力 御養蚕の物語通じ 文化見つめなほす

平成29年01月30日付 6面

 平成十七年から十年の歳月をかけておこなはれた第六十二回神宮式年遷宮。数ある諸祭の中でもその中心となる両正宮の遷御の儀は平成二十五年十月に斎行された。この大祭に際して奉られる御装束神宝の調製に当たり、皇室よりその材料として皇后陛下御親蚕の小石丸の生糸を二度に亙って御献進いただいた。一度目は平成十八年、皇大神宮の屋形紋錦御被に用ゐる屋形文錦と豊受大神宮の刺車錦御被に用ゐる黄地小車文錦の二種の織物の織糸として、そして二度目は平成二十三年、両正宮に一面づつ奉献される鵄尾御琴に張る絃として、それぞれ使用させていただいた。完成した御料はその糸の緻密さから成る光沢感に富み、また白度が高いため天然植物染料による発色がより鮮やかで美しい仕上りであった。
 皇后陛下のお気持ちがこのやうに形となって日本の伝統を紡がれてゐることを体し、我々も次世代へ伝へてゆかなくてはならない。本書では小石丸を主題として、御養蚕の様子や正倉院宝物の復元をはじめとする文化的意義、また海外との交流などが多くの写真資料と併せて紹介されてゐる。これからの日本文化の行末を、小石丸といふ存在が本書を通して暗示してゐるのではないだらうか。
〈本体2300円、扶桑社刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉
(神宮司庁造宮局神宝装束部技師補・村上壮)

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