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神社と政治 小林正弥著 神社の社会性 可能性も提起

平成29年02月27日付 6面

 鍵となる言葉は「民の公共」である。国や地方自治体などの公的機関によるものではない、民間による公共的活動が注目されるやうになった今の時代を、戦後の神社界は期せずして先駆してきたと著者は指摘する。
 かうした論は、普遍主義的価値観で神道を断じようとするものではなく、日本の伝統的世界観を重視しつつ、努めて公平な観点からの考察を試みようとしてゐるもので、そこでは現代における神道のさまざまな可能性も提起されてゐる。評者も含め神社人の賛同を必ずしも得られるものばかりではないが、耳が痛い問題や示唆に富む内容も多い。過疎地域神社の活性化といふ課題にも言及されてゐる。
 もっとも、やはり専門外となる歴史や神道の学術分野については未だ十分に通じてゐるとは言へず、関係各位へインタヴューしてはゐるものの、神社界に対する理解もいささか表層的な部分に留まってゐる感は否めない。とはいへ、同時期に刊行された類似の書籍の中では、斯界において俎上に載せるに足る数少ない一冊と申し上げて宜しからう。
 神社界は今一度その社会的役割を自覚し、個々の活動においても真に為すべきことは何か、それぞれ深く検証していく必要性を本書は示してゐるのではないだらうか。
〈本体880円、株式会社KADOKAWA刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉
(ライター・植戸万典)
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