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論説 大御心に倣ひ祭祀厳修を 神社祭祀審議会

平成29年02月27日付 2面

 本紙前号において既報の通り、去る二月七日に第十四回神社祭祀審議会が開催された。前回は平成二十三年二月に開催されてをり、六年振りのことである。この間、前回会合の直後には東日本大震災が発生し、斯界も復興支援等に追はれ、また平成二十五年の第六十二回神宮式年遷宮に際しては、本庁組織を挙げて取り組んできたところである。もとより斯界にとって祭祀の厳修とその振興は最重要課題であり、今回の報道に接して嬉しく思った。そこで、これまでの経緯を顧みながら、再開の意義を考へてみたい。



 神社祭祀審議会が、総長を委員長として、神社祭祀に関する重要事項等を審議する機関として常設されることになったのは、平成十四年であった。その後、平成十七年九月に開催された第一回審議会にて、祭祀関係の課題として統理から示された十項目の諮問事項を確認の上、順次審議が進められ、これまで第一次答申から四次答申までが纏められてゐる。この答申に基づき実際に規程が改正され、その充実を図ってきたことは周知の通りである。
 現在、答申後に規程改正へと至ってゐないのは、女子作法の見直しの件である。女子作法の見直しは、可能な限り男女間の作法の統一が図られるべきとして、改正の具体案を示しつつ女子神職の祭式研修会に合はせて専門委員会を開き、現場の意見を聴取したが、現状維持を望む声が多く保留となってゐる。



 また、神職の祭祀服装に関する規程(女子の服制についての見直し等)は継続審議中で、これまでの議論の内容を整理して、次回会合で確認することとなった。「服忌」に関する事項については、第二次答申で解説書にて対応する具体案が示されてゐるが、これもその具体内容の審議を次回以降におこなふことが確認された。「服忌」は日常生活と密接に関はり、正しく理解してゐないと氏子への対応に苦慮することとなる。迅速に対応を図り、神職の理解を徹底することが肝要であらう。
 前回の会合で協議された「天皇陛下地方行幸に於ける旧官国幣社及び指定護国神社への幣饌料奉納に際する神社で行ふ祭祀について」では、その祭式が神社によって区々であり統一がないことから、前回会議での「大祭式」でとの意見に基づき、通知原案を確認した。陛下の御敬神にどのやうにお応へ申し上げるべきか、極めて重要な決定と思はれる。戦後、極端な政教分離が叫ばれるなかであっても、各神社における祭祀は大御心によって公の祈りへと連なっていく。勅祭社の伝統も含め、大御心により祭祀の本質が堅固に継承されてゐるのである。



 『後水尾院当時年中行事』には、「禁祕抄云、あからさまにも神宮 内侍所の方を以て御跡となし給はず云々、今以かたく守らるる一ヶ條也」と記されてゐる。いふまでもなく順徳天皇の『禁祕抄』の冒頭は、「凡そ禁中の作法、先神事、後他事。旦暮敬神の叡慮懈怠なし、あからさまにも神宮 内侍所の方を……」となってゐて、その御精神が江戸初期の当時にあっても、いささかも変化してゐないことを指摘されてをられるのだ。陛下の祈りは今もその延長線上にあり、日本国と国民とを大きく包み込んでゐる。祭式作法の一挙手一投足をもゆるがせになさらない、御敬神の伝統がここにある。神社祭祀についても、大御心に倣ひ一層厳修しなければならない。課題があれば一つ一つ徹底的に議論し、正しい形を定めていくべきであらう。
 神社祭祀によって国家社会の安寧や国民の平安を祈り、国民はその恩頼の中で健やかに和やかに過ごすことができる。さうした現実を継続していくことが何より大切である。社会の中で、生きた祭祀がおこなはれなければならない。さうすることで法制上も国民意識の上でも、祭祀が正統的に位置付けられる時が訪れるのではなからうか。 また一方で、地域の伝統行事や祭礼は子供たちの教育にも大きく貢献してゐる。多くの地域で祭礼における役割が決まってゐて、折々に神役を務めることは、励みとも誇りともなり、子供たちの成長に欠かすことができない。
 神社祭祀審議会の議論を通じて祭祀の本質が神職共通の理解となり、また日々の御奉仕の糧ともなり、わが国が一層安定した安国となるやう願ふものである。

平成二十九年二月二十七日

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