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蒔絵の人間国宝招き乃木神社で 大人心游舎


 【東京】彬子女王殿下が総裁を務められる一般社団法人心游舎は二月十七日、港区・乃木神社(加藤司郎宮司)で、いはゆる人間国宝の漆芸家・室瀬和美氏を講師に迎へての講演会「大人心游舎」を開催し、約七十人が参加した。
 子供が対象の体験講座を重ねる心游舎が成人会員を対象とした講演会を開催するのは、一昨年三月に神社本庁大講堂で開いた「大人心游舎」が最初で、今回が三回目。講演前に挨拶した彬子女王殿下は「子供たちによき日本文化を伝へていくために何ができるか」を考へられて創設された心游舎がこの四月で五周年を迎へることを述べられた。
 また「いくら子供が漆の器で御飯を食べたいといっても、歌舞伎を観にいきたいといっても、大人から『子供にはもったいない』とか『まだ早すぎる』とかいはれてしまふと、せっかくの興味の芽が摘まれてしまふことになる」と、大人向け講座の開催趣旨について御説明され、「日常にさまざまな日本文化を取り入れていただいて、生活のなかに日本文化を活かしていくきっかけづくりを皆様にもしていただければ」と語られた。
 同神社に参集した参加者らは午後六時に正式参拝をおこなった。篝火の焚かれるなか、彬子女王殿下の御拝礼に続き、室瀬氏が代表して玉串を奉り、参加者が合はせて拝礼。加藤宮司から参列者への挨拶があった。
漆器を生活へ
 講演会は隣接する乃木会館でおこなはれ、室瀬氏の講演に先立ち雪餅と玉緑茶とが参加者に。それぞれ虎屋の黒川光晴氏と丸若屋の丸若裕俊氏とから提供した和菓子・茶について説明があった。
 講演では、重要無形文化財「蒔絵」保持者である室瀬氏が、漆・蒔絵の歴史や独自性などを解説。登山家・三浦雄一郎氏がエベレスト登頂の際に持っていった漆器も展示しつつ、漆器の耐久性、飯椀に適してゐること、一生ものの価値などについて説明した。
 質疑応答では、漆器作りに必要な道具を製作する職人が少なくなってゐる現状等についての言及も。神宮式年遷宮の御神宝調製も容易ではない時代であることが語られ、「最高のものを残す」ためには「みなさんが使ふ」といふ下支へが力になることが語られた。

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