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論説 地域社会への貢献 奉仕支へる環境の整備も

平成29年07月03日付 2面

 七月は「社会を明るくする運動(社明運動)」の強調月間となってゐる。社明運動は、すべての国民が、犯罪や非行の防止と罪を犯した人たちの更生について理解を深め、それぞれの立場において力を合はせ、犯罪のない地域社会を築かうとする全国的な運動として展開されてゐる。地域の安寧を祈り、また地域と共に存する神社としては、犯罪や非行の防止は重要な関心事の一つであり、諸行事を通じてそれぞれの活動に協力してゐる。
 一方、罪を犯した人たちの更生に関しては、収容施設で教誨師や篤志面接委員などとして奉仕し、また社会に出てからは保護司として協力する形があり、神社関係者もそれぞれの立場で活動してゐる。七月の社明運動強調月間においても街頭での啓発活動や広報活動、記念行事等がおこなはれてをり、犯罪や非行の防止と更生に尽力する方々にまづは感謝の意を表したい。



 矯正施設における宗教教誨は各宗教・宗派の聖職者がその任につき、被収容者の希望をもとに信仰面から精神的安定を与へ、改善更生と社会復帰に寄与してゐる。当然ながらその内容は宗教的なものであり、被収容者が宗教的欲求を満たしつつ更生に励むべく、聖職者が活動をおこなってゐる。もちろん神社本庁でも各矯正施設で奉仕する教誨師を委嘱し、研修会なども開催してゐる。
 社会における更生への奉仕活動としては就職支援などいくつかのものがあるが、その奉仕者の代表的なものとして保護司が存在し、神社関係者をはじめ多くの宗教者がその任についてゐる。宗教教誨は、宗教を求める被収容者に対して聖職者がおこなふものゆゑに、もちろん宗教的な内容が中心となる。だが保護司の活動は社会復帰への協力が主なものとなり、宗教性を表に打ち出すやうな活動ではない。さうした中にあっても自らの信仰を基盤に据ゑ、神社関係者であれば浄明正直の精神のもとに、また他の信仰者たちもそれぞれの信仰対象へ捧げる真心を以て活動に勤しんでゐる。



 神社本庁では七月からの新年度にあたり、向う三カ年継続となる教化実践目標を決定。「皇室尊崇・神宮崇敬の念の涵養と国家意識の喚起」「祭祀の厳修と振興、祭礼行事を通した地域社会の活性化」「家庭祭祀・年中行事の振興と、文化・伝統の継承」「神道精神に基づく青少年教育・福祉・環境保全等、地域社会への貢献」「教化組織相互及び外部団体との連携による活動展開」――の五項目を掲げ、それぞれに解説を付した上で、目標達成のための施策を講じるやう求めてゐる。
 この「教化活動」といふ言葉については、一般的に参拝者数の増加や社頭の繁栄を目指すといふやうな、狭義の範囲で捉へられることが多い。しかし教化活動を考へる上では、神社が社会のなかで意義ある存在として認知され続けるためにどのやうな活動が相応しいのかも検討すべきであり、その意味では「地域社会への貢献」を謳った第四項はとくに重要といへるだらう。



 罪穢れを祓ひ清める水無月大祓を終へて七月を迎へ、また罪を悔いて更生に努める人々を支へる社明運動強調月間にあたり、神道精神に基づき地域社会に貢献するさまざまな活動がおこなはれる。かうした活動こそ神社人が取り組むべきものであり、神社界が社会から求められてゐる一面でもあらう。
 ただしこのやうな活動について、果たして神社界が全体としてどこまで意識し、また実践に努めてゐるのかといふ点では、残念ながら未だ不充分な部分も見出せるのではなからうか。もとより少子高齢化や過疎化によって神社奉護が困難となり、それゆゑに神社そのものの存立さへ危機に瀕してゐる場合や、また共同体意識の稀薄化などに対し、効果的な対策が見出せてゐないといった事情もある。
 地域社会に奉仕する神社人の行為は尊く崇高なことであり、賞賛に値するものだが、それを支へる環境が果たして充分であるのかも考慮する必要があるだらう。「奉仕精神」の発揚として美辞麗句を並べて称へるだけでなく、神社界が奉仕を支へる環境をどのやうに整へ、志ある人々にいかに効果的に力を発揮させ得るのか、もとより経済的な側面をも勘案した上での検討が必要であることを指摘し、神社界一丸となった活動展開を願ふものである。
平成二十九年七月三日

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