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『象徴天皇制の成立 昭和天皇と宮中の「葛藤」』茶谷誠一著 戦後混乱期における皇室関係 法制の改正と葛藤を描き出す

平成29年08月14日付 6面

 著者の茶谷誠一氏は、『昭和戦前期の宮中勢力と政治』『昭和天皇側近たちの戦争』『牧野伸顕』(いづれも吉川弘文館)などの著書で知られた日本近現代史を専攻する研究者で、大学時代から数十年来、地道に皇室制度についての研究を進めてきたことでも知られる。
 本書の「はじめに」にもある通り、著者は、そもそもわが国が立憲君主制なのか、共和制なのかといふ問題はもとより、終戦当時の天皇の譲位(退位)論をめぐる政府首脳の考へ、動きについても詳細に記されてゐる。

 本書は、君主制研究に尽力してきた歴史学者の手によるものであり、いはゆる保守論壇にある研究者が編んだ著書ではない。

 とはいへども、長年皇室制度の史的研究に携はってきた著者の客観的な視点で現行憲法、皇室典範における制度の課題が書かれてゐることで、改めて広く一般に皇位継承や皇室典範の抱へる問題点を知らしめることができるものと思ふ。

〈本体1600円、NHK出版刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉
(國學院大學准教授・藤本頼生)
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