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論説 総代会大会を控へ 個々の力を組織的運動へ

平成29年09月04日付 2面

 来たる九月六日、第五十三回全国神社総代会大会が埼玉県神社総代会の主管で開催される。今年は全国各神社の役員・総代など、例年を上回る約二千五百人が参集する予定だといふ。
 大会では、神社功労者の表彰や今年度の事業計画に関する報告などもおこなはれる。この事業計画では、皇室敬慕の念の涵養をはじめ、神宮崇敬の念の醸成、祭祀の振興と鎮守の森の保護育成を通じた青少年の健全育成、神道精神に基づく地域社会の再生・発展など、六項目に亙る実践目標が示されてをり、さらに、それに対応する具体的な事業も掲げられてゐる。大会における報告を踏まへ、改めて広く認識を共有しつつ、鋭意その実践が図られることを期待したい。



 過疎化・少子高齢化など地域社会をめぐるさまざまな課題が山積する昨今、神職とともに神社の護持運営に尽力し、とくに地域社会と神社とを繋ぐ役員・総代の役割は、いよいよ重要になってゐる。さうしたなかで、今年五月の神社本庁定例評議員会の自由討論において、山梨県選出の総代評議員から地域社会と神社の現状を踏まへた不活動神社対策に関する意見表明があったことは記憶に新しい。
 山梨県神社庁では、過疎化の進行などにより神職・総代・氏子が減少し、年に一度の例祭の斎行も困難な神社が増加するなかで、神社本庁の「不活動神社対策特別推進事業」の指定を受けてさまざまな活動を展開。当該問題について大きな関心を寄せる山梨県神社総代会でも、有志を募って活動費の助成をおこなったといふ。各地の神社総代会においても、さうした地域社会と神社をめぐる課題への認識をさらに深め、斯界を挙げて一層の協力体制が図られるやう求めたその意見は、極めて心強いものであったといへる。



 この「不活動神社対策特別推進事業」に限らず、昨年、本庁施策の大きな柱として新設された「過疎地域神社活性化推進委員会」と「本宗奉賛活動強化推進委員会」で検討されてゐる活動等においても、役員・総代の協力は決して欠かすことができないものだらう。それは、例へば神職が常在してゐない各地の神社で、日々の清掃奉仕をはじめ長年に亙りその管理と護持に尽瘁してゐる役員・総代が数多く存在することや、年末の神宮大麻頒布において、各地の神社で総代がその直接的な活動に多大なる貢献をしてゐることなどからも明らかだ。
 いづれにしても、神社の護持運営をはじめさまざまな活動の展開と推進は、自治会・町内会の会長などを務め、地域の指導者として名望を集める役員・総代の積極的な協力があって初めて顕著な実績を挙げ得るといへる。さうした役員・総代の使命の尊さと重大さを改めて確認したい。



 そのやうな個人としての役員・総代の活躍の一方で、全国神社総代会をはじめ、各都道府県の神社総代会、支部・神社レベルでの組織的な活動はどうであらうか。年に一度の大会や総会をはじめ、巡拝旅行や各種の研修会などの記事は本紙でも折に触れて報告されてゐる。このうち研修会については、新任者を対象に総代としての心得や神社運営に関する基本事項を確認するものや、神職一人での祭典奉仕が多い地域で、祭典の準備・奉仕等に関する作法等を学ぶものなど、祭祀の厳修や後継者育成をも視野に入れつつ、地域の実情に応じてさまざまな工夫が凝らされてゐる事例も見られ、さうした内容は他地域の参考ともなるだらう。
 先に触れた定例評議員会における総代評議員の発言にもあったやうに、各地の神社総代会においても現今のさまざまな課題に対する認識を共有することで、斯界を挙げた協力体制の構築が図られよう。地域社会の指導者である全国三十七万人の役員・総代が、奉仕神社をはじめ支部の総代会、都道府県の神社総代会、さらには全国神社総代会といふ組織を通じて個々人の力をより積極的な組織的活動に繋げ、心を一つにして起ち上がる時、その活動は、まさに強力な国民的運動として展開されることともならう。
 今回の全国神社総代会大会が、各地から集まった役員・総代が一致協力して山積する課題に対応すべく決意を新たにするための、一つの契機となることを切に願ふものである。
平成二十九年九月四日

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