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論説 神宮大麻頒布の季節 神宮奉賛に結束と奮起を

平成29年12月04日付 2面

 いよいよ師走に入り、神宮大麻・暦の頒布の時季を迎へた。神宮大麻の全国頒布は明治天皇の聖慮に基づき、「今年より始て畏き大御璽を天下の人民の家々に漏落る事無く頒給はむとす」として明治五年に始められた。今年も寒さ厳しいなかで頒布活動に従事してゐる全国の神社関係者に対して、まづ以て深く敬意を表したい。
 神社本庁では、平成二十六年度に策定した「三カ年継続神宮大麻都市頒布向上計画」の第一期指定期間を終へ、今年度から新たに第二期の活動が始まってゐる。第一期の成果と課題を踏まへつつ、さらなる効果的な施策が展開されることを切に望むものである。


 この第二期の都市頒布向上計画においては、神社本庁や神社庁、各支部・神社の活動計画についてそれぞれ留意点等が明記され、とくに「氏子区域の実態調査」と「頒布奉仕者の意識向上」が重要課題として挙げられてゐる。このうち「氏子区域の実態調査」については、氏子地域や頒布対象地域の再確認、奉斎家庭台帳や奉斎者名簿の作成等が、また「頒布奉仕者の意識向上」に関しては、神宮を本宗と仰ぐ所以や全国頒布の意義などについて理解を深めるやうな研修会の開催等が例示されてゐる。
 「実態調査」は、地味ではあるが活動推進にあたっての基本となる事項といへよう。自治体が公表してゐる世帯数の統計情報と頒布実績から頒布率を割り出し、頒布目標数を算定・依頼するやうな事例も仄聞するが、現状を正確に把握した上でこそ、具体的な対応・対策を検討することもできよう。また「意識向上」については、その成果が必ずしもすぐに目に見える形で表れるわけではないかも知れない。ただ、頒布奉仕者の後継者育成を含め、神宮大麻・暦の頒布を中・長期的な視野で考へる上では極めて重要といへるであらう。ぜひこの機会に、それぞれ地域の実情に則り効果的な対応を検討してほしい。


 もとより、かうした「頒布奉仕者の意識向上」が課題とされるのは今に始まったことではない。十年余り前に設置された「本宗奉賛に関する研究会」の報告書においても、神宮大麻奉斎の意義や頒布活動の基本理念の確立などとともに、頒布向上に向けた共通認識を持つことが重要な課題とされ、神職をはじめ総代や地域の世話人など実際の頒布奉仕者を対象とした研修会の実施や、神職の養成・研修等を含めた計画的な人材の育成などを提言。さらには、神職身分や表彰・顕彰等の制度的な裏付けに基づく頒布奉仕者の「意慾向上」などにも視点が向けられてゐたのである。
 昨年来、「本宗奉賛活動強化推進委員会」においても神宮奉賛に向けた諸活動のあり方が検討されてをり、神宮大麻・暦の増頒布についても熱心に意見が交はされてゐる。「頒布奉仕者の意識向上」に加へて頒布手続きなどの制度的な面を含め、これまでの議論の積み重ねと現状を踏まへ、総合的な対策が図られることを期待したい。


 折しも今秋には、次期式年遷宮に向けて御用材を伐り始める「斧入式」が長野と岐阜の御杣山で執りおこなはれた。式年遷宮は天皇陛下の御治定によって執り進められるため、公式な準備は御聴許を待ってからとなるが、地元の要望に応じる形で始められたものだといふ。平成二十五年の第六十二回式年遷宮における皇大神宮・豊受大神宮の遷御の儀から四年余り。千三百年に及ぶ遷宮の歴史・伝統と、それに関はることへの尊い思ひを改めて感じずにはゐられない。
 また戦後は、「半官半民」といはれる昭和二十八年の第五十九回式年遷宮を含め全国の財界関係者も協力のもとで組織された奉賛会が募財に努めてきたが、本紙今号に掲載の通り、神社本庁では神宮司庁・伊勢神宮崇敬会・日本商工会議所・伊勢商工会議所の協力により、全国の商工会議所関係者を対象とする参宮企画を実施。昨年の第一回から数へて三回目となった今回、女性経営者らで組織する各地の商工会議所女性会から多くの参加があり、これまで以上に好評を博したといふ。
 次期式年遷宮を見据ゑた動きが始まるなか、神宮奉賛の三本柱の一つとされる神宮大麻・暦の頒布に斯界の総力を挙げて取り組みたい。関係者の一層の結束と奮起を望むものである。

平成二十九年十二月四日

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