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論説 五月を迎へて 平成の大御代を寿ぎ奉る

平成30年05月07日付 2面

 五月に入り、「平成」の元号を使ふのもあと一年を切ることとなった。
 来年四月末には天皇陛下が御位を譲られ、翌五月一日に皇太子殿下が践祚されることが定められてゐる。また平成の御代は三十年目の節目の年を迎へてをり、来年二月二十四日には政府主催により「天皇陛下御在位三十年記念式典」が執りおこなはれることも発表されてゐる。
 神社本庁では御代替特別対策本部を設け、基本姿勢と運動方針を定めた。御即位三十年を迎へるにあたり、感謝と奉祝の誠を捧げ、また来たる御代替りにあたり、一連の儀式が先例に準じて完遂されるやう働きかけをおこなふことなどを記してゐる。これまでの平成の御代を思ふとき、大きな自然災害の発生などが印象に残りがちだが、そのやうなをりにも常に国民に寄り添って来られた大御心をこの機会に改めて敬仰したい。そして、さうした大御心が皇祖より代々続くことを思ひ起こし、竹の園生の弥栄を願ふものである。

 一般的に人々の記憶は、幸福なことより不幸なことの方が残りやすいといはれてをり、それゆゑ平成においては平成七年の阪神・淡路大震災と平成二十三年の東日本大震災といふ二度の震災を含む災害が強く想起されるかもしれない。そして、さうした自然災害に際して「常に国民に寄り添って来られた」陛下のお姿を洵にありがたいことと感じてきたのは間違ひないことである。
 もちろん平成の御代は決して不幸なことばかりではなかった。例へばスポーツ界においてはオリンピックなどでの活躍があり、また多くの科学者がノーベル賞を受賞するなど、日本人が広く世界で活躍した。いはゆるバブル崩壊やリーマンショックなどの混乱はあったが、それでもわが国の経済は何とか持ちこたへてゐる。
 近代以降の御代替りは、天皇の崩御によってのみおこなはれてきたものであるが、今回は御譲位による御代替りであり、前もって期日が決まってゐる。さうした中で平成の御代を思ひ、三十年の節目を迎へたことを寿ぎながら、感謝と奉祝の誠を捧げることの大切さを再認識したい。

 御大典にともなふ奉祝等についても、儀式や行事の執りおこなはれる日程が事前に明らかとなり、その準備に表立って邁進できる。どのやうな形がわが国にとって相応しいのか、また神社関係者としての理想についても意見を開陳していくことが可能である。
 御代替特別対策本部の基本姿勢には、「一連の儀式が、皇位にかかる国家的重儀として、極力、先例に準じた形で……」と記されてゐるが、先年七月に示された「皇室典範特例法」に関する神社本庁の基本的姿勢に「旧登極令に定めのない『譲位』に関する儀式についても、皇室の先例を考証し」とあるやうに、この「先例」は平成のみでなく、過去すべての御大典を通じて最もわが国柄に相応しいものと理解せねばならぬことは明白である。
 そのほか俗なる部分としては、奉祝行事の資金調達のやうなものとともに、神社奉護の問題も残る。平成の御大典にあたっては、極左暴力集団による神社への放火など破壊活動が相次ぎ、いくつもの神社に甚大なる被害があった。このやうな被害を未然に防ぐためにも、関係者と密接に協力していくことが大切である。
 我々が目標とするところを高く掲げ、またその実現のために、祭典奉仕など聖なる部分だけでなく俗なる部分を含め、自らの立ち位置に即した努力を続けていくことが求められる。

 をりしも今年は明治維新百五十年にもあたり、斯界は明治維新の精神を改めて思ひ直すべく活動を進めてゐる。悠久の歴史の中で、かうしたことをいかに解釈して活動に結び付けていくのかが重要である。平成の御大典の際には昭和の御大典を体験した人々は少数であったが、今回は先の御大典を実際に経験した人が多く、その記憶もまだ残ってゐることだらう。
 五月下旬に開かれる神社本庁定例評議員会を中心とした諸会議「青葉会議」は、御代替りを前にした最後の青葉会議となるが、その会議において、出席者の諸氏が平成の御代に自ら体験したことを踏まへて御即位三十年の奉祝と御大典への真摯な意見を交はし、実りある議論がなされることを切に願ふものである。
平成三十年五月七日

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