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論説 評議員会を終へて 「新たな息吹」のなかで

平成30年06月04日付 2面

 本紙今号に掲載の通り、神社本庁の定例評議員会が終はった。
 五月二十四・二十五の両日に亙って開かれた会議では、平成三十年度の一般会計歳入歳出予算案をはじめ、とくに今回は今上陛下御即位三十年の奉祝や御譲位に伴ふ御大典特別活動等を総合的に実施するために設置した「御代替特別対策本部」に係る特別会計も決議してゐる。この御即位三十年や御代替りに関しては、評議員提出議案として「天皇陛下御即位三十年の大御代を寿ぎ、御代替の正しい知見を広めて、諸儀式が皇室の歴史と伝統を踏まへて国家の重儀として執り行はれるやう取り組むとともに、愈々皇室敬慕の念を醸成し、天皇陛下の聖徳を仰ぎ見る国民運動を永続的に展開するやう、神社本庁に要望する件」も決議。加へて自由討論では、御代替りの諸儀礼中とくに大嘗祭が伝統に則り厳修されることをはじめ、挙国一致の奉祝運動の展開や国民精神の確立に努めることの大切さを訴へる意見発表もあった。御即位三十年と御代替りを控へ、なにより斯界が一致協力して意義ある活動が積極的に展開されるやう望むものである。

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 また最終日には北白川道久統理が発言を求め、自身の近年の加療やその後の体調等に触れた上で「もう少し若い方に替はって、新たな息吹を吹き込んでいただき、神社界がこれからさらに活動を活撥化していかうとする良い機会でもあります」と述べて辞意を表明。評議員会に先立つ本庁役員会の席上でも、天皇陛下の御即位三十年の奉祝や御代替りの儀式、また本庁正常化などの諸課題、さらにその先には神宮の式年遷宮もあることから、ここで交代することが最良との考へを示してゐた。
 平成二十三年、東日本大震災の発災から間もない時期の統理就任から七年。震災対応をはじめ、自身が平成十六年に神宮大宮司として今上陛下から御聴許を受けて正式に御準備が始められた伊勢の神宮における第六十二回式年遷宮、さらに終戦七十年や本庁設立七十年など斯界として多事多端な折柄、統理としての御教導に改めて感謝の誠を捧げるとともに、「神社界においてもさまざまなことがあらうと存じますが、どうぞ神道人らしくお取り組みいただきたく存じます」との辞意表明の際の発言を深く胸に刻みたい。
 今後は、さうした北白川統理の言葉を十分に踏まへつつ、「神社界は、今の現状ではいろいろといはれてゐるところもございますけれども、謙虚に現状をよく見つめ、そして、今日お集まりの方々はじめ広く皆様とのコミュニケーションを通じて、より良い斯界を築いていくべく力を尽くしていきたい」と議場で語った鷹司尚武新統理のもとで、評議員をはじめ全国の神職・総代を含めた神社関係者が一丸となっての斯界興隆に努めたい。

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 初日の会議では、神社新報社への税務調査に対する本庁見解、百合丘職舎売却後に購入した職舎の現状を含めた危機管理体制、「月刊若木」掲載の十月定例評議員会の議事概要の内容、人口減少が加速するなかでの将来的な本庁の予算編成のあり方、斯界の現状への認識、などについて質疑や意見があった。
 評議員からもさまざまな意見があったやうに、斯界内外をめぐる昨今の状況は決して楽観視できるものではなからう。さうした意味でも、新統理を推戴しての「新たな息吹」のなかで、より良い斯界を築いていくためにいかに考へ行動すべきなのか、斯界全体が真摯に自身を顧み、さらにはコミュニケーションを重ねながら対応を図っていかなければならないだらう。

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 冒頭にも触れた今上陛下の御即位三十年、そして御代替りも刻々と近づきつつある。また評議員から指摘のあった、かねて懸案となってゐる人口減少の加速化をはじめ全国各地の神社をめぐる社会環境の変化については、相互扶助体制の構築を主眼とする新たな施策が取り進められてゐるところである。さうしたなかで斯界が一致協力の態勢を執るための前提としても、まづは、各人が神道人らしく振る舞ひ、謙虚に現状と向き合ふことから始めたい。
 北白川統理の辞任と鷹司新統理の選出に際しての言葉を重く受け止めるとともに、改めて斯界が大同団結を図りつつ新たな一歩を踏み出すための契機として、強固な連携を図っていくことが求められてゐるといへよう。
平成三十年六月四日

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