文字サイズ 大小

論説 神政連中央委を終へ 御代替りと憲法改正に向けて

平成30年06月25日付 2面

 御代替りを来春に控へ、なほかつ国際情勢も大きく変動するなか、神道政治連盟の中央委員会が六月十三日に神社本庁で開催された。前日には、神政連国会議員懇談会の総会があり、その後に都道府県本部の役員や地方議員らを含めた合同の会合がおこなはれた。当日、カナダでの先進七カ国首脳会議で米欧対立の調整役を果たして帰国したばかりの安倍晋三総理も、会合に馳せ参じて挨拶した。
 神政連にとっては、来年は大事な御代替りの他に、四月には統一地方選挙が、また夏には有村治子議員を推薦する参議院議員選挙が控へてゐる。それだけに、中央委員会で採択された平成三十年度活動方針に基づき、個別の事業計画を着実に遂行し、とりわけ憲法の改正については、国会発議と国民投票の実現に向けて一層強力に国民運動を展開していかねばならない。
 また、そのための足腰となる地方議員連盟のさらなる組織化に努め、青年隊をはじめとする地方での組織活動に熱心に取り組むことが必要である。



 我々が悲願としてきた日本国憲法の改正は、目下のところ野党の抵抗で停滞してゐる。憲法審査会は、政局の如何に拘らず国のあり方を継続的に審議することになってゐるが、今国会では主要野党が政府の諸々の失態批判と責任追及とに絡めて審議を放棄してきたのは甚だ遺憾だ。立憲民主党の枝野幸男代表に至っては、「安倍首相の下での憲法改正には反対」などと発言して憚らない。責任ある野党リーダーとしては大いに批判されねばならない。
 このやうな実情を打開して改憲論議を前進させるためには、これまでとは異なる方法も考へるべきではないか。憲法改正案は、衆院では百人、参院では五十人の議員の賛成で国会に提出できることになってゐるのだ。自由民主党はすでに四項目の改憲草案を公表してゐる。これを基にして、改憲政党を糾合し、具体的な改正条文案を作成して国会提出することを考へるべきではないか。それによって衆参の憲法審査会の審議に乗せ、国民の間での真剣な議論の盛り上がりも期待できる。いつまでも野党との事前の合意を求めて、改憲の時期と機会を失ってはならない。自民党の覚悟を促したい。



 御代替りの時期には、これまでもしばしば歴史的な大事が起きてゐる。前回の平成元年はとくに印象深い。東西ドイツ分裂のシンボルだったベルリンの壁が壊され、米ソ首脳会談がおこなはれて冷戦が終結した。人々は平和を期待したが、超大国の米ソの抑へが効かなくなり世界は逆に紛争が多発して不安定化した。中国では、民主化を求める動乱が発生し、それを弾圧した天安門事件も起きてゐる。
 今回もまた、御代替りを前にしてすでに大きな歴史の転換を予感させる出来事が起きてゐる。朝鮮戦争の休戦以来、南北に分裂してゐた北朝鮮と韓国とが、米国や中国、ロシアなどの大国を巻き込んで敵対関係の解消に向けて動き出した。初の米朝首脳会談もおこなはれたが、わが国にとっても最大の脅威である核とミサイルの行方は全く予測し難い。これから平和条約が結ばれ、朝鮮半島から米軍が撤退することにでもなれば、東アジアの勢力関係は一変する。あらゆる脅威への準備と覚悟が我々には求められてゐるが、改憲の焦点となってゐる今の自衛隊の前身が誕生したのも、まさに朝鮮戦争が契機となったことを忘れてはなるまい。



 皇室典範特例法の制定により来春には二百年ぶりとなる天皇陛下の御譲位があり、皇太子殿下が御即位されることとなる。諸儀式が皇室の伝統を尊重した国家的重儀として執りおこなはれるやう我々は切に望んでゐる。御代替りに関連した式典等の基本方針や期日と方法については、すでに政府の式典準備委員会から発表された。その基本は、前回の平成の先例を継承するとされたが、各々の儀礼の持つ本来の精神を失ふことのないやう神政連には神社本庁と一体となり先人の努力を見倣って働きかけをおこなってもらひたい。
 さらに改元については、本来「天皇の元号」たるべきことに鑑み、新天皇が御聴許の上、政令として公布され、公表される手続きを大事にすべきである。さまざまな重要な課題を抱へた今、神政連に期待するところは大きい。より一層の尽力を願って已まない。

平成三十年六月二十五日

オピニオン 一覧

>>> カテゴリー記事一覧