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杜に想ふ 若造 八代司

平成30年07月09日付 5面

 近頃のスポーツ界では「年齢」が話題となり、なにかと考へさせられることが多い。アメリカンフットボールの試合では問題となった反則行為に関し、記者会見で反省する二十歳の選手の姿は実に潔かった。これに比して、監督や大学側の対応は洵にもってお粗末そのものであり、その老獪きはまりない醜態は見苦しい限りとして世間を賑はせた。
 サッカーのワールドカップでは「サムライジャパン」と称される選手たちの平均年齢が高いことから「おっさんジャパン」とも揶揄されて、試合前には酷評さへされてゐた。確かに前回や前々回の大会での中心メンバーであった選手と変はらぬやうな感じの顔ぶれではあったが、多くの心配を他所に、熟練選手の活躍でその面目も躍如。私も俄応援者の一人ではあるがその奮起にはまさに敬礼をしたくなる気持ちであった。
 サッカー界のキング・カズこと三浦知良、球界のイチローやスキージャンプのレジェンドこと葛西紀明の各氏も現役を求め続けてゐる。そして、フィギュアスケート界では、世界王者であった高橋大輔氏が現役復帰を電撃表明。三十二歳であり、限定的な復帰としながらもその挑戦する姿に心からのエールを贈りたい。
 また時をほぼ同じくして、五輪連覇を達成した羽生結弦氏に国民栄誉賞が授与された。東日本大震災での被災や怪我を乗り越えての偉業であり、個人としては史上最年少の受賞とのこと。授与式では羽生家の家紋が染め抜かれた日本男子の第一礼装である黒紋付に、自身の出身地である宮城県仙台市の人間国宝の手による最高級の伝統絹織物「仙台平」の夏袴の姿が実に凛々しく、今後のさらなる活躍を期待してゐる。
 さて、厳然とした年功序列であり、長幼の序を最たる美徳とする神社界はいかがであらうか。さういへば、その昔、神宮大麻暦頒布始祭に併せておこなはれた優良頒布奉仕者の事例報告発表を拝聴する機会があった。その際、ある報告者の方が冒頭、自身が教職を停年退職してから神職として本格的に神社奉仕に専念し始めたと自己紹介し、「私のやうな神職としての若造が事例報告をするのはをこがましい」と真摯に謙遜されて挨拶されてゐた。会場を見渡せばその方の実年齢は決して若造レベルではなく、むしろ相応の御年齢。神社界における年齢感に驚きを感じたことを今も鮮明に覚えてゐる。
 これまでの人生、何度かの基点で自分の年齢を考へることがあった。いつまでも若い気持ちではあるが、寄る年波といへばいささか大仰だが、昨今は自分の年齢を感じることも多い。若手からは人生の「下り坂」とまで言はれ、上ってもゐないのに下り坂かと苦笑しながら、実年齢とは別に肉体年齢や精神年齢との言葉もあれば、老けこむにはまだまだ早いと自分自身に「常若の心」と言ひ聞かせてゐる。(まちづくりアドヴァイザー)

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