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【新刊紹介】鈴木岩弓・森 謙二編「現代日本の葬送と墓制 イエ亡き時代の死者のゆくえ」 厳しい現実を直視し死者の祀り方を問ふ

平成30年09月10日付 6面

 本書は、平成二十八年二月二十・二十一の両日、東京都青山葬儀所にて開催された、本書の副題にもなってゐる「イエ亡き時代の死者のゆくえ」と題した公開シンポジウムの内容を、登壇した発表者諸氏が当日の議論を基に再構成し纏めた論文集である。少子化や核家族化により、イエ(家。歴史的仮名遣ひでは「いへ」となるが、本書において慣行上の「カタカナ表記」で述べてゐることに鑑みそのままの表記とする)といふ意識や実態が衰頽してゆく現代にあって、人として避けて通ることのできない死後の葬送、そして墓の問題に焦点を当ててゐる。

 墓はイエが守るもの、といふ意識は未だに根強いが、その是非はともかく、もはや成り立ち難い厳しい現実を本書は指摘してゐる。しかし、それを直視し、先祖祭祀のあり方や行政の取組み、慰霊の方法等を、改めて前向きに考へるための指標として、本書は意味のある一冊であるといへる。
〈本体3800円、吉川弘文館刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉
(神社本庁主事・岡市仁志)
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[31600260] 現代日本の葬送と墓制 おすすめ
3,800 円(本体価格)
編者 鈴木岩弓 森謙二 / 吉川弘文館
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