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【書評】山口輝臣編『戦後史のなかの「国家神道」』 通俗的イメージに惑はされぬ政教関係のあり方摸索する書

平成31年02月25日付 6面

 本書は、平成二十九年十一月十二日に開催された史学会第百十五回大会日本史・近現代史部会のシンポジウムにおける報告をもとに著された論文を中心にまとめたものである。本書の構成は、明治維新期から神道指令が発令された戦後初期までを対象としたⅠ部「『国家神道』まで」、「国家神道」が今日の「通俗的」な用法に定着した一九五〇年代から七〇年代を中心とするⅡ部「『国家神道』をつくる」、Ⅱ部の時期以降、現在さらには今後のことを扱ったⅢ部「『国家神道』のこれから」の、凡そ時系列に沿った三部に分かれ、全六章からなる。

 本書は、「国家神道」の用法や考へ方そのものが「戦後の産物」であること、つまり「国家神道」は、戦後日本における政策や社会運動・宗教運動などとの関係から「独自に定式化」され、今日の「通俗的」な用法やイメージが定着したものであることを提起してゐる。

 今日までの学界における「国家神道」研究では、その定義や概念規定をめぐる討議に集中しすぎるきらひがあった。本書により、今後は近代における神社と国家の関係の実態について発展的な議論が展開されるとともに、政治・社会的にも「国家神道」といふ用語やその「通俗的」な用法・イメージに惑はされない政教関係のあり方が築かれることを期待したい。
〈本体4000円、山川出版社刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉
(國學院大學教授・齊藤智朗)
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