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小林宣彦著『律令国家の祭祀と災異』 災害への対応としての古代国家祭祀システム

令和元年05月13日付 5面

 本書は古代神道史学界の中堅として活躍されてゐる著者による初論文集である。祈年祭班幣に代表される古代律令国家祭祀について、かつては、律令国家による全国地方神社の統制と捉へる説が有力であった。しかし神々の祟りを重視する見方が登場し、著者の師にあたる岡田莊司氏によって、そのやうな国家祭祀体系が、全国の神祇が天皇へ祟ることを未然に防ぐために諸国の国司・神職に対し、神祇の管理の徹底を命じるといふ循環型祭祀の考へ方によって成立したものであることが提唱された。
 この論をさまざまな制度面からの検証を通じて実証的に論証し、発展させようとしたのが本書といふことになる。平成十三年から三十年にかけて発表された論攷十七本がもととなってゐる。

 神職として研鑽を積まれてをられる著者ならではの視点、発想が活かされてゐる本書は、神社史・祭祀史研究の上で欠かせない一書となることであらう。
〈本体11000円、吉川弘文館刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉
(国立歴史民俗博物館准教授・小倉慈司)
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