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論説 令和初の評議員会 活動基盤となる教学充実を

令和元年06月03日付 2面

 今号に掲載の通り、神社本庁五月定例評議員会を中心とする斯界恒例の青葉会議が終はった。
 践祚・改元を経た新たな御代における初めての評議員会となった今回、令和元年度の一般会計や御代替り関係の特別会計の予算をはじめ、御代替り記念の特別昇級・特別昇階に係る関係規程などが決議された。また、鷹司尚武統理の再任が決まったのをはじめ任期満了にともなふ役員改選があり、評議員会終了後の臨時役員会で四期目となる田中恆清総長以下の新たな執行部が発足した。今回、この役員改選にあたっての選考委員会や臨時役員会、さらには正副議長の選考などにおいては、これまでに比べて審議に多くの時間を要してゐる。
 令和といふ新元号については、「秩序ある調和」との意義付けなどもされてゐるが、新たな御代にあって新執行部が発足するなか、斯界においてもぜひさうした「秩序ある調和」の実現を強く望むものである。



 振り返れば、一年前の評議員会で北白川道久統理から退任の申し出があり、後任として鷹司統理の就任が決まった。その際、北白川統理は最後に「神社界においてもさまざまなことがあらうと存じますが、どうぞ神道人らしくお取組みいただきたく存じます」と述べてゐる。七年間の在任中、とくに最後の二年間は百合丘職舎売却をめぐる調査委員会の設置や職員の懲戒処分にともなふ訴訟等々、神社本庁の歴史のなかでも、かつてなかったやうなことが相次ぎ、心労の多かったことは想像に難くない。
 「神道人」らしいあり方をどのやうに認識してゐたのか、北白川前統理が逝去された今となってはもはや知る術もないが、「神社本庁憲章」や「敬神生活の綱領」などからは、神道人・神職として、先人たちが何を理想としてきたのかを窺ひ知ることができよう。このうち例へば、「品性を陶冶して、社会の師表たるべきこと」「大御心をいただきてむつび和らぎ」などの一節は、とくに印象深く想起される。
 もちろん全国の神職の大多数は、神道人として真摯に神明に奉仕してゐるだらうことを疑はない。ただ、昨年から現在までの一年間の斯界のさまざまな状況に鑑みれば、北白川前統理の言葉の意味を改めて重く受け止めなければならないのではなからうか。



 一方、今回の評議員会では本会議における予算審議にあたり、予算額などだけではなくそれを執行する神社本庁の基本的な姿勢や方針も議論すべきとし、その基盤としての教学研究の充実を求める発言があった。御代替りに伴ふ即位礼・大嘗祭を今秋に控へた今、神社本庁としては諸行事や奉祝活動をはじめ、今後の皇室制度全般を含めた考察、さらには平成度の総括・反省に基づく施策展開など、教学研究に基づく積極的かつ適切な活動が求められることはいふまでもない。
 発言のなかでは、「教学・神職養成を抜きにして、将来の神社はない」との考へから、昭和六十三年に事務総局・研修所・教学研究所といふいはゆる「一局二所制」が整へられたことも紹介されたが、その後、本庁組織は平成二十年の事務所組織整備により事務総局・総合研究所・広報センター(現・教化広報センター)に再編されて現在に至ってゐる。もとより職員の人数や能力には限りがあり、状況を一朝一夕に変へることは容易ではないが、教学研究のさらなる充実に向けて、これまでの機構改革や事務所組織整備などの意図や経緯、その成果と現状を踏まへた検討も期待したい。



 即位礼・大嘗祭を前に皇室の御事はもとより、神社・神道をめぐるさまざまな課題、さらには神社本庁としてのあり方について検討を重ねるとともに、「神道人」としての姿勢などに関しても常に問ひ続けるやうな教学研究体制の充実が求められる。さうした点について、ぜひとも格段の具体的措置を講ずべきである。
 新たな御代における初めての青葉会議を終へ、新執行部のもと歩みを進めるにあたり、まづは「神道人」としての行動を求めた昨年の評議員会における北白川前統理の言葉を改めて胸に刻みたい。そして、各自が「神道人」としてふるまふことで、これからの神社界が少しでもより良い方向へと向かっていくことを切に願ふものである。

令和元年六月三日

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