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論説 全国神社総代会大会 一致協力して御大典奉祝へ

令和元年09月23日付 2面

 本紙前号に掲載の通り、去る九月四日に石川県金沢市で第五十五回全国神社総代会大会が開催された。大会には全国の神社総代など約千四百人の関係者が参集し、神社の護持運営等にとくに功績のあった総代など神社功労者の表彰があったのをはじめ、今年五月の定例代議員会で決議された事業計画についての報告や、地元出身の俳優による記念講演などがおこなはれた。
 このうち事業計画に関しては、「御大典奉祝に赤誠を捧げる活動と、神宮崇敬の念の醸成を図るための活動推進に努める」ことをはじめ、「祭祀の振興と鎮守の森の保護育成を通じ、青少年の健全育成に努める」「神道の精神に基づき、地域社会の再生・発展に努める」ことなど六項目の実践目標について、同会事務局長を務める吉川通泰神社本庁副総長が詳しく説明した。
 「奉祝天皇陛下御即位」を冠し、即位礼・大嘗祭を控へて開催された今年の大会は、御大典に向けて皇室敬慕の念の喚起や奉祝気運の醸成を図るべく、決意を新たにするものとなった。



 五月の新帝陛下践祚により新たな御代を迎へ、今回は令和初の全国神社総代会大会となった。振り返れば全国神社総代会が設立された昭和三十三年は、十月三十一日に明治神宮において戦災復興にともなふ本殿遷座祭があり、全国神社総代会の設立総会がおこなはれた十一月四日には昭和天皇が御親拝になられてゐる。またその月末には、当時皇太子であられた上皇陛下の御婚約が発表されるなど、戦後復興を経て新たな時代へと向かふ希望に満ちた時代であったともいへよう。
 さうした雰囲気は、設立総会において採択された宣言に「独立を恢復してここに八年、祖国日本が各分野に亙って逞しい復興を見つつあることは、私共の最も意を強くするところであります」「凡そ一国の発展は、正しい伝統に基づいて中正なる思想を堅持し、国民挙って親和協力することにおいてのみ期されるものと信じます」などとの文言があることからも窺へる。新たな令和の御代を迎へた今、設立当初の先人たちの思ひを改めて振り返りつつ、清新な気持ちで御大典奉祝をはじめとする諸活動が取り進められることを切に望むものである。



 ただ、全国神社総代会が設立された昭和三十三年から六十年余りの歳月を経て、近年は神社の置かれた環境等について、さまざまな課題が指摘されるやうになってゐる。今回の大会においても、会長式辞では「少子高齢化や過疎化が急速に進行し、人口減少社会を迎へて」ゐることを指摘。これらの問題が「地域共同体意識や伝統的価値観の欠落をも招来し、神社の護持運営とも関はる課題となって」ゐることが強調された。
 もとより大会参加者をはじめ全国各地で活躍する総代においても、その奉仕神社の状況はそれぞれ大きく異なるであらう。かねて「一億総中流」などといはれたわが国もバブル崩壊やリーマン・ショックを経て所得格差の拡大が指摘されるやうになり、神社においても都市部と過疎地など二極化が顕著になってゐるといった指摘もなされてゐる。いづれにしても斯界をめぐる状況が大きく様変はりするなか、全国神社の護持運営に向けて、各地の神社総代が心を一つにして取り組むことを期待したい。
 古来、地域社会の精神的な核として、構成員の紐帯の強化を担ってきた神社であればこそ、関係者の親和協力のもと、困難な課題にも対処し得ると信じるものである。



 いよいよ来月二十二日には新帝陛下の即位礼が、さらに十一月十四日から十五日にかけては大嘗祭が執りおこなはれる。これにあはせ、十一月九日には神社本庁も参画してゐる天皇陛下御即位奉祝委員会主催による「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」が皇居前広場で、また十二月五日には全国の神社関係者が集ひ「御大典奉祝全国神社関係者大会」が東京・明治神宮会館でそれぞれ開催される。そのほか、すでに各地でも奉祝の行事などが実施・企画されてゐる。
 御大典の奉祝に向けて各地の神社総代を含めた関係者が一致協力することで、さうした活動に際しての取組みと成果が、今後の神社の護持運営における諸課題への対処にも活かされていくことを期待したい。

令和元年九月二十三日

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