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【新刊紹介】田口孝雄著『天草島原一揆後を治めた代官 鈴木重成』 先行研究を丹念に検証し 奉仕神社の御祭神を考察

令和元年09月30日付 6面

 寛永十四年(一六三七)に起った天草島原一揆(島原の乱)は、二万八千人余の潜伏キリシタンが蜂起・全滅し、幕府側の追討総大将までもが戦死するといふ、開幕して三十年余の江戸幕府を震撼させる事件であった。

 一方、一揆の舞台となった熊本天草地方、長崎島原地方では、戦闘によって人口は激減し、集落は消滅し、社寺も崩壊するといふ惨憺たる状況であった。

その荒廃した天草の戦後復興に、幕府から代官として派遣されたのが、本書の主人公・鈴木重成である。重成自身も、この一揆鎮圧に鉄砲隊長として従軍してゐた。
 天草にはその鈴木重成を祀る鈴木神社が鎮座する。本書の著者、田口孝雄氏は当鈴木神社の宮司であり、また天草文化協会の会長を務めるなど、当地域きっての文化人である。自らの奉仕神社の御祭神について論考されたのが本書である。

 一揆の舞台となったこの地域は、昨年、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として世界遺産に登録され、今日、潜伏キリシタン所業の地は衆目を集めてゐるが、一揆後の村々は荒廃地と化したことも忘れてはならない。その復興といふ課題に挑戦したのが本書であり、時宜を得た好著である。多くの方々に一読をお勧めしたい。

 〈本体2200円、弦書房刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉
 (長崎・富松神社宮司 久田松和則)
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