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岡本雅享著『千家尊福と出雲信仰』 多彩な顔もつ偉人その事績を一冊に

令和2年03月02日付 6面

 近代を代表する神道人・宗教家の一人として、第八十代出雲国造の千家尊福を挙げることに異論を唱へる者はまづゐない。しかしながら、その実績の豊富さ、そして知名度の高さに反して、尊福の事績については藤井貞文氏の論考や出雲大社教刊行の書籍によって纏められてゐるものの、その生涯を一冊に収めた伝記の類は乏しい現状にあった。
 その中、昨年十一月に刊行されたのが本書、岡本雅享『千家尊福と出雲信仰』である。尊福歿後百年にあたる平成三十年を機に、島根の地元紙『山陰中央新報』で企画された連載を基とする。

 近代といふ日本古来の伝統と西洋伝来の思想・制度とが激しく相剋した時代に、千家尊福が古来の出雲信仰をどのやうに継承し、発展させてゆくのか。神道人・宗教家、そして政治家と多彩な顔をもつ稀代の偉人・千家尊福。その多彩な活動はいづれも、出雲信仰の先導者としての尊福の思ひに基づくものであったことが、本書を通じて諒解されるであらう。そして、さうした先人がゐたればこそ、出雲信仰は今もなほ息づいてゐるのである。
〈本体940円、筑摩書房刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉
(神社本庁嘱託・國學院大學PD研究員 半田竜介)
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