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論説 全国教化会議 まづ足元を見つめ直し

令和2年03月02日付 2面

 三月二・三の両日、「今期の教化実践目標の総括と今後の課題について」を主題とする令和元年度全国教化会議が開催される。今回は「家庭のまつりと地域のまつりの振興を目指して」を主題とする教化実践目標の最終年度にあたり、これまでの取組みを確認するとともに、次期の教化実践目標について検討することを主な目的とし、本庁報告や基調講演を踏まへ、分科会と全体会で意見を交換。また御大典奉祝の教化活動を通じて得られた経験や課題等の情報交換もおこなはれる。
 会議を通じ、我々が家庭のまつりとして捉へてゐる神棚祭祀・祖霊祭祀の状況や、地域のまつりを支へる社会の変遷と神社との関係などに鑑みながら、新たな教化実践の方途を考へ直す機会にしなければならない。

 神社本庁の教化実践目標は、平成八年の神社本庁設立五十周年を機に策定された「教化活動大綱」や「教化活動方針」に基づき提示されてきた。もとより神社の教化活動は、庁規前文に掲げられてゐる「神祇の恩徳を奉体して、神社の興隆を図り、斯道の宣揚に努めて、道義を作興し、もつて人類永遠の福祉に寄与すること」が目的で、いふまでもなく「教化実践目標」とは、その方針である。
 今期については前記主題のもと、「皇室尊崇、神宮崇敬の念の涵養と、国家意識を喚起するための活動推進に努める」「祭祀の厳修と振興を図り、祭礼行事を通して地域社会の活性化に努める」「家庭祭祀・年中行事の振興を図り、文化・伝統の継承に努める」「神道の精神に基づき、青少年教育・福祉・環境保全等、地域社会への貢献に努める」「教化組織相互及び外部団体との連携による教化活動の展開に努める」との五項目が示されてきた。
 過疎化や少子高齢化、後継者の育成など斯界としての共通課題がある一方、各神社の実情はさまざまで、約二万二千人の神職の奉仕状況も決して一様ではない。現場の神職の意見や要望をはじめ、関係施策との連携やこれまでの取組みの確認と検証、そして今、神社本庁としていかなる方針を示すべきかを考慮しつつ、神職の一致協力に向けた目標の周知徹底も望まれる。

 新たな教化実践目標の設定にあたり、教化会議は現場の神職の意見・要望を反映させるための貴重な機会でもある。今回の会議では次期の教化実践目標の設定に向け、さまざまな意見が開陳されることに期待したい。会議にあはせて各神社庁からの報告を纏めた『神社庁教化活動報告書』も参考にならう。これについては毎回、広報や人材育成、意識共有の重要性などが指摘されてをり、さらに近年では、事前に教化実践目標の原案を示すなど、広く意見を汲み取るやうな仕組み作りを求める記述も見られた。
 一方で実践活動を考へる上では、対象となる氏子崇敬者の暮らしや価値観なども重要な検討要件となる。神棚奉斎家庭の減少、単身世帯の増加をはじめ、家庭や地域のあり方の変化が著しい昨今、各神社の現状や神職の奉仕環境が一様でないのと同様に、氏子崇敬者の状況にも差異がある。さうしたなかで、いかに祭祀を根付かせ、神社の振興を図っていくのか。共有すべき実践目標を設定した上で、それぞれの実情、さらには特色に応じ、劃一的でない個別の活動が求められてゐるといへよう。

 昨今の朱印に対する関心の昂りや、かねてからのパワースポットやスピリチュアルなど「神社ブーム」の波に乗り参拝者を増やした神社があるといふ。また境内で各種イベントをおこなったり、人気アニメなどと連携したりして賑はひを見せる神社もあると聞く。神社に興味を持つきっかけは多種多様で、実際に鳥居をくぐり、熱心な崇敬者になる人も少なくない。しかし一時の流行として終はらせることなく、神社・神道の振興を図っていく上では、「神祇の恩徳の奉体」や「斯道宣揚」「道義作興」といふ神道教化の核が重要となるであらう。その実践において、結局は祭祀の厳修と振興とが大切なことは未来永劫変はらず、さらに社頭における参拝者への日々の教化活動が鍵となる。
 令和の御代を迎へて初めて開かれる教化会議。教化実践の門戸を広げつつも、我々が長らく掲げてきた神社振興を通じての氏子崇敬者の教化のあり方を足元から見つめ直す秋といへよう。
令和二年三月二日

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