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園部逸夫著『皇室法入門』 現代皇室制度に関はる 当事者が基本と課題を

令和2年05月04日付 4面

 園部逸夫氏『皇室法入門』が上梓された。申すまでもなく園部氏は、最高裁判事退官後、「皇室典範に関する有識者会議」(平成十七年)、「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」(平成二十八年)等に一貫して関はってこられた。皇室法・皇室制度研究の第一人者と評される所以である。本書の価値は、平成の「有識者会議」に参画したその当事者の声を、具に窺ひ得ることにあらう。

 そもそも皇室の法制度をめぐっては、占領時代以来、斯界先人が粒々辛苦の研究と実践を重ねてきた。かの『現行皇室法の批判的研究』(昭和六十二年初版・平成二十九年改訂、神社新報社刊)がその到達点であったとは多言を要さない。その序言は次のやうに言ふ。
占領が終り、日本が独立を回復したとき、憲法、皇室法は当然に見直さるべきであった。しかし、当局や学者の法解釈は、いまにいたるも占領時代のそれを引きついだままで、変則的混乱をつづけてゐる。……皇室に深い関心を有する国民にとっては、まことに憂慮にたへない。日本の歴史伝統に基いた皇室法の真摯な研究が痛感される所以である。
 昭和から平成への御代替りに際しての課題は、なほ令和の課題として引き継がれてゐる。本書『皇室法入門』に示された諸々の手懸りをも参照しつつ、歴史と伝統に基付いた「令和の皇室研究」が、切に求められてゐると言へよう。
〈本体880円、筑摩書房刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉
(國學院大學神道文化学部教授・武田秀章)
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