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論説 大麻頒布と教化活動 新施策の決定にあたり

令和2年06月22日付 2面

 このほど神社本庁役員会において、七月の新年度から実施される三カ年継続神宮大麻都市頒布向上計画と教化実践目標とが決定された。
 このうち三カ年継続神宮大麻都市頒布向上計画は、平成二十六年から二期六年に亙って実施してきた神宮大麻の頒布向上施策で、新年度からの第三期は初年度に二十五年ぶりとなる神宮大麻初穂料改定があり、最終年度は神宮大麻全国頒布百五十周年の節目にあたってゐる。次期神宮式年遷宮も見据ゑて、より強力な増頒布活動の展開が求められてゐるところである。
 また教化実践目標は、昨年の御代替りを経て新たな令和の御代が始まるなか、今年が三大神勅の記された『日本書紀』編纂から千三百年の節目にあたることなどを踏まへ、「御大典を期して、三大神勅の心を次世代へ」との主題を設定。具体的な目標として、皇室敬慕の念のさらなる醸成、神宮奉賛の意義啓発、神話教育の充実と伝統文化の普及、神社の公共性の顕現、祭祀を通じた地域社会との連携と活性化――などが示されてゐる。いづれも斯界にとって極めて重要な施策であり、今後三年間の活動成果に期待をしたい。

 神宮大麻都市頒布向上計画と教化実践目標については、すでにこれまでの役員会で原案が示された上で協議がおこなはれ、今回の役員会において決定となった。ただ新型コロナウイルス感染症の影響に鑑みて書面による表決だったこともあり、従来のやうな事務局からの説明や協議が十分におこなひ得たとは言ひ難い面もあるだらう。加へて三月五日の神宮大麻暦頒布春季推進会議は中止に、また三月二日・三日の全国教化会議は延期となってをり、施策策定に先立ち、それぞれの担当者らが一堂に会する機会が失はれたことは洵に残念であった。
 例年、新年度を控へた六月には神社庁事務担当者会が実施され、新たな施策の確認などがおこなはれてゐるが、今年は神社庁長会とあはせて七月に開催を予定してゐると聞く。神宮大麻都市頒布向上計画と教化実践目標については、「月刊若木」などでも詳細な解説記事が掲載されることとならうが、新たな施策展開にあたり、その理解や周知徹底に一層努められることを切に願ふものである。

 かねて神宮大麻の頒布は教化活動のバロメーターといはれてきたやうに、神宮大麻都市頒布向上計画と教化実践目標がそれぞれ密接に関はることはいふまでもなく、また、その期間も向後三年間と同様である。ただ、かうした施策に実際に取り組むこととなる各地の神社は現在、今回の感染症の影響による参拝者や祈祷の減少など厳しい状況が続いてゐる。さうした影響は例へば観光地の神社でとくに顕著といはれるが、鎮座地や神社の規模などによりさまざまで、今回示された計画・目標についても、それぞれが状況に応じて対応を求められることとならう。
 これまで感染症拡大にともなふ緊急事態宣言発出のなか、各地の神社では神賑行事の中止などの対応に追はれつつも、感染症流行鎮静祈願祭の斎行、疫病退散など特製の神符・守札の頒布、インターネットを活用した祭典の動画配信、夏越の大祓に先立つ茅の輪の設置など、さまざまな取組みがおこなはれてきた。さうした取組みについても情報を共有した上で、これからの神宮大麻増頒布や教化活動として何が可能で、何をなすべきなのか、教学的な側面も踏まへつつ考へていきたい。

 「新しい生活様式」として、新型コロナウイルスを想定した日常生活の実践例が示され、各地で移動・外出・営業などの自粛要請解除の動きが段階的に進んでゐるが、今後、神社をめぐる社会環境がいかに変化していくのかは不透明である。神社のさまざまな活動については、日々の生活再開の動き、氏子・崇敬者を含めた地域の経済状況、今後の感染症対策などを見据ゑながらの対応となっていくであらう。
 いづれも七月新年度から向う三カ年継続となる神宮大麻都市頒布向上計画と教化実践目標の決定にあたり、まづはその趣旨・内容の周知徹底を図るとともに、感染症の今後の影響を踏まへながら、中・長期的な視点に立った神社としての活動のあり方について、改めて検討を進めていく必要があることを確認したい。
令和二年六月二十二日

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