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齊藤壽胤著『思索する経世学者佐藤信淵』特異なる経世学者 人物を知る入門書

令和2年06月29日付 6面

 佐藤信淵は、幕末の特異な経世学者である。明和六年(一七六九)に現在の秋田県雄勝郡に生まれ、嘉永三年(一八五〇)に江戸で亡くなってゐる。明治四十二年、平田篤胤大人命を祀る彌高神社に合祀された。本書は同神社が発刊してゐる彌高叢書の第十三輯。著者は、これまでに彌高叢書第十一輯『気吹舎篤胤随感録』及び同十二輯『感性の国学者平田篤胤』も執筆してゐる。

 慶応三年(一八六七)正月に明治天皇が即位され、その年の十二月に王政復古、明治新政府は翌年三月に五箇条の御誓文を以て、国政の基本方針を示された。「広く会議を興し、万機公論に決すべし」と近代的・開明的な国是を高らかに宣言してゐる。何故、こんなにも素早くこんなことが可能であったのか。その答へが、信淵が多くの著作を著はし、諸藩の改革に当たり、世の中に警鐘を鳴らし、国家隆昌のために提言をした生涯にもあるやうに思ふ。今後の佐藤信淵研究の深化を切に願ふものである。本書はその優れた入門書である。
〈彌高神社で無料頒布してゐる。残部僅少、問合せは同神社(電話〇一八―八三二―四四九六)まで〉
(國學院大學教授・茂木貞純)

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