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清水 潔監修『神武天皇論』 記紀だけではない 初の通史的な論攷 米田雄介

令和2年07月20日付 6面

 本書は、第百二十六代・今上陛下の御即位と、初代の天皇といふ神武天皇が橿原神宮に奉祭されて百三十年にあたることとを記念したものである。橿原神宮は、歴史の中の神武天皇を通観できる書物の刊行を企画。監修を委嘱された清水氏は要請に応へ、同氏の皇學館大学時代の教へ子や同大学での関係者で執筆陣を組織し、『古事記』『日本書紀』の時代から近現代に至るまでの神武天皇のさまざまな姿を紹介する書物を編著し、刊行された。

 従来の神武天皇論は、記紀の分析に基づくか、明治維新前後の近代化の中の人物として取り上げられるかであり、中世から近世における神武天皇像は殆ど考察されてこなかった。しかし本書において、はじめて神武天皇の通史が刊行された。神武天皇が記紀の中の伝承のみならず、神道との関はりはもとより、仏教や陰陽道などとの関連があったことが指摘され、新時代の中で、別の価値を附加されてきたことなどが説かれてをり、今後の神武天皇論の基本的文献の一つにならう。
〈本体3400円、橿原神宮庁刊・国書刊行会発売。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉
(神戸女子大学名誉教授・米田雄介)
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3,400 円(本体価格)
発行:橿原神宮庁 監修:清水潔 / 国書刊行会
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