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論説 神青協が夏期勉強会 体験共有して大同団結を

令和2年09月07日付 2面

 今号掲載の通り、神道青年全国協議会ではこのほど「『新たな日常』における神社の在り方」を主題とする夏期勉強会を開催した。
 この夏期勉強会は、政府による緊急事態宣言の解除後も新型コロナウイルス感染症による脅威が続き、新型感染症と共存していく「新たな日常」「新しい生活様式」への対応が迫られるなか、今後の神社の在り方について考究することが趣旨。インターネット利用やデータ活用の高まりなど今後の社会変化に関する議論を踏まへ、データ活用についての新たな学術分野「データサイエンス」や、肉体的・精神的・社会的な幸福などの意味で使用される「ウェルビーイング」といった新たな概念をも視野に入れて、当該分野の専門家による講義を聴講した。
 新型感染症を経験したことで、価値観・生活の在り方など社会環境の変化が加速するともいはれ、神社においても今後の対応などが課題となるなかで時宜を得た主題での勉強会であり、その成果に基づく神青協のさらなる活躍に期待するものである。

 今回の夏期勉強会は、例年この時期に開催してきた夏期セミナーが、新型感染症の拡大防止の観点から中止を余儀なくされたため、それに代はるものとして企画された。
 ここ数年、夏期セミナーは神社本庁を会場に全国各単位会から百六十人ほどが参集して開催されてきたが、今回はウェブ会議システム「ズーム」を用ゐた勉強会(ウェビナー)として、約三千人の全会員を対象としての実施となった。結果的に例年の夏期セミナーとほぼ同数の参加者数に留まったことは残念ではあったが、社務等の都合で参加できなかった会員もゐたであらうし、平日の午後といふ時間帯もあり兼業神職の会員など参加が叶はない場合などもあったのだらう。
 感染症流行下における研修会等の開催についてはさまざまな議論があり、その形態については一長一短があるのかも知れない。もちろん従来のやうに夏の暑い盛りに青年神職が一つの会場に集まり、講義や議論などの体験を共有することにも大きな意義があるだらう。ただ今回、神青協がウェブ会議システムを活用して夏期勉強会を開催したことについては、とくに講義を全国各地の会員全員で共有しようとした点において、一つの好事例として良いのではなからうか。

 そもそも神青協の夏期セミナーは、神社本庁設立四十周年を迎へた昭和六十一年、戦後四十年の諸問題について神道青年として改めて考へるべく、八月四日から十三日までの連続十日間に亙って開催された。
 当時、全国各単位会から延べ約八百人が参加し、「神社本庁および神社界の組織論・運動論」「政教問題」「教学問題」の三つのテーマのもと講義や討論などがおこなはれた。それから約三十五年が経過するなか、開催日程等の変遷を経つつ、さまざまな主題を掲げて続けられてきてゐる。
 今回、新たな社会変化のなかでの神社の在り方を主題とする勉強会を、これまでの夏期セミナーとは大きく異なる「ウェビナー」といふ形で実施した神青協。かねていはれてきたやうに「斯界の尖兵」として時代の変化に敏感に対応していくことはもちろん重要であり、今後もさうした姿勢に期待するものである。加へて、連続十日間に亙り議論を交はした先輩たちの姿を忘れず、さうした情熱もしっかりと受け継いでほしい。

 昭和六十一年の第一回夏期セミナーにおいて、青年神職らしい純粋な気持ちと熱心さで真摯に斯界の将来を論じ合った参加者たち。今ではそれぞれの立場で斯界を担ふ存在となり、その子の世代が神青協執行部を構成するやうな時代ともなってゐる。「神社本庁および神社界の組織論・運動論」「政教問題」「教学問題」といった当時のテーマは、戦後七十五年を迎へた今もまだ斯界にとって重要な課題であり、関係者が一致協力して臨まねばならない問題であることはいふまでもない。
 新型感染症の影響などから、ややもすれば閉塞感も漂ふ昨今の世情にあって、全会員を対象に夏期勉強会を開催した神青協、そして三十五年前に暑い夏を共有した仲間たちを含め、関係者が大同団結して課題に対処していくことで、斯界の将来に明るい希望が齎されることを念じて已まない。
令和二年九月七日

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