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由谷裕哉編『神社合祀 再考』 施策のあり様や意味 改めて考へる意慾作

令和2年09月14日付 6面

 「神社合祀」「神社合併」といふ言葉は、昨今の神社界でどのやうに響いてゐるのであらうか。氏子崇敬者の減少や高齢化に伴ひ、祭典・儀式行事の規模縮小をはじめ維持管理が困難なところでは深刻な問題といへる。これは、神社信仰の継承を含めて他人事ではなく、また政府主導の政策としておこなはれた歴史用語としての「合祀」ではない重さをもって迫ってゐよう。
 本書は、さうした課題に処方箋を提示する内容ではない。日露戦後に地域社会に生起した神社の統廃合とそれに先立つ小祠整理の問題を中心に、学術的関心として事実関係の事例分析を通して、従前の当該領域にかかる先行研究のあり方、すなはち問題の捉へ方、看過・等閑視されてきたテーマなどを含め六篇の論攷が纏められてゐる。

 本書での事例提示が、関係のない他所事といふのではなく、いま御奉仕の神社が「なぜここに」「かうしてあるのか」を理解し、新しい日常が問はれる時代とどのやうに向き合ふかの探求路を本書から学ぶことも多いと言へよう。
〈本体2800円、岩田書院刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉
(皇學館大学名誉教授・櫻井治男)
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