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論説 過疎活性化推進委 共通課題としての対応を

令和2年09月14日付 2面

 先週号に掲載の通り、第二期となる過疎地域神社活性化推進委員会の初会合が八月二十七日に神社本庁で開催され、これまでの活動を踏まへた施策要項改定や神職の後継者確保など、今後の検討事項について意見を交換した。
 同委員会は、各地で過疎化が進行するなか、これまでの施策などを検証しつつ、過疎地域の神社を主な対象とした対策を立案・実施していくことを目的として平成二十八年九月に設置された。検討課題として、不活動神社対策との区別について、過疎地域神社活性化とモデルとなる神社・支部・地域等の指定について、神職の後継者確保と神社活性化のための事業について、支援体制について(主として資金及び人的支援、情報提供等)――の四項目を掲げ、同年十月から昨年三月まで十回に亙って会合を開催してきた。ただ、検討課題のうち神職の後継者確保については、昨年六月の同委員会の設置期限までに具体的な対応策の提示に至らず、その審議内容を取り纏めるとともに、委員会の継続設置を求める報告書を提出してゐた。

 同委員会ではこの間、神社祭祀を中心に据ゑた地域ぐるみの相互扶助体制の確立を目指す過疎地域神社活性化推進施策を策定。同施策に基づき、全国各神社庁において過疎地対策に取り組む委員会等の設置や、施策の対象となる推進地域の指定がおこなはれるとともに、岡山・愛媛・長崎において特区が指定され、それぞれ各種活動が展開されてゐる。
 第二期の委員会については、第一期の報告を踏まへ、今年二月の役員会で継続設置が決定。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、今回が初会合となった。当日は今後の検討事項として、第二期過疎地域神社活性化推進施策要項の策定と、第一期からの継続審議となる神職の後継者確保の二点を提示。このうち神職の後継者確保に関しては、祭祀補助員(宮守制度)の制度化、神職子弟の育成制度、神職派遣制度の創設について検討をおこなふ予定だといふ。
 もとより過疎化に対する特効薬はなく、神社界だけで解決できる問題ではないが、過疎地の活性化に向けた一助となるやう有効な施策・制度の検討がなされることを望むものである。

 第一期の過疎地域神社活性化推進施策における各地の推進地域や特区の三地域を見ると、その状況はそれぞれ大きく異なる。過疎地の活性化といっても、神社本庁が意図するところと、それぞれの推進地域において神職が目指すもの、また当地の氏子・崇敬者が神社に期待することも決して一様ではないだらう。ある程度の目的意識を共有した上で、個別の施策については第一期の成果と反省を踏まへ、地域の実情に合はせて柔軟な対応が可能となるやうな配慮も必要ではなからうか。
 さうした地域の実情への配慮は、祭祀補助員(宮守制度)、神職子弟の育成、神職派遣などの制度化を検討するといふ後継者確保においても同様に求められるだらう。加へて後継者については、これまでも必要な人員を確保しつつ、その能力・資質をいかに担保するのかが課題ともされてきたが、さうしたことは過疎地に限った問題ではない。そのやうな意味では、とくに神職子弟の育成などは広く斯界全体における課題として考へていきたい。

 第二期となる過疎地域神社活性化推進委員会は、新型感染症の影響で半年ほど遅れてのスタートとなり、今後はリモート会議としての開催も予定されてゐるといふ。
 新型感染症は一極集中化した都市部の課題を浮き彫りにし、リモートワークの活用による企業・従業員の地方移転など、過疎地を含めた地方の見直しの動きも見られる。ただ、さうした社会変化の兆しのなかでも、全国的に進む過疎化は一朝一夕に解決できるほど簡単な問題ではないだらう。一方で、昨今の相次ぐ自然災害は過疎地を含め地方をより疲弊させてをり、人口流出の加速や復興の停滞も懸念される。
 人々が苦しい状況にあるなかで、新型感染症の経験に基づく社会変化を踏まへつつ、祈りの場である神社、そして神々への信仰をいかに守り伝へていくのかは、神社関係者にとっての基本的な共通課題であらう。同委員会における今後の議論の深化と斯界挙げての対応に期待したい。
令和二年九月十四日

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