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論説 評議員会を終へて 叡智結集して各種対応を

令和2年11月02日付 2面

 神社本庁の令和二年十月定例評議員会が十月二十三日に開催された。
 今回の評議員会は新型コロナウイルス感染症の影響に鑑み京都のホテルを会場とする異例の形でおこなはれ、例年のやうな傍聴席は設けられず、全国各地から選出されてゐる評議員のみ約百三十人が出席。会議に先立ち、五月に開催できなかった表彰式に代はり長老二氏への敬称授与並びに鳩杖贈呈式が執りおこなはれた。
 今年五月の定例評議員会が新型感染症の拡大防止の観点から各地区選出の常任委員による書面での表決だったこともあり、評議員が一堂に会しての会議は昨年の十月定例評議員会以来およそ一年振りとなった。

 今回の会議においては、令和元年度の業務報告と決算が認定されたのをはじめ、昨年の五月定例評議員会における評議員提出決議案件等の処理結果を承認。決算確定を受けての補正予算の編成においては、新型感染症の神社に与へる影響に鑑み、負担金賦課制度等財政調査委員会の答申を踏まへた負担金の減免措置として、全国一律で三割の減額とすることが反映されてゐるほか、特別寄贈金や協賛金も減額補正された。このほか、とくに財務状況が悪化した神社への対応として、災害等対策資金貸付規程に基づく借り入れの特例措置が講じられることとなった。
 神社本庁では、評議員会に先立ち新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインを策定してをり、今回の負担金減免を盛り込んだ補正予算や財務状況を立て直すための無利息貸付の規程整備などによって、ある意味で神社本庁の感染症対策として当面の施策が定まった形になったともいへよう。ただ今後の見通しは未だ不透明で、いはゆる「第三波」への懸念も払拭できてゐない。七五三詣や神宮大麻・暦の頒布、さらには初詣を控へるなか、安心・安全な祈りの場を提供すべく引き続き慎重に状況を見据ゑながら、必要に応じて全国の神社に寄り添ふやうな施策展開の検討も望まれるところである。

 会議のなかでは、教学意識の稀薄化、本庁との被包括関係廃止神社数の推移、御代替関係記念事業の内容、法務関係費の支出状況と元参事二人の懲戒処分をめぐる訴訟への対応、デジタル化の推進――等々について次々と質問や意見が寄せられ、議論の加熱や終了時間の関係などから議事進行を優先するやうな場面も見られた。さうしたなかで、当初予定されてゐた自由討論はおこなはれず、後日、書面により報告がなされることとなった。東京の庁舎ではなく時間的制約のある京都のホテルを会場としたため已むを得ない措置とはいへ、消化不良との印象が残った評議員もゐたのではなからうか。
 閉会にあたり挨拶に立った鷹司尚武統理は、元参事二人の懲戒処分をめぐって係争中の訴訟について、どちらが勝つのかといふことも心配だが、判決後の控訴や和解の判断に際して、議論を尽くした上での意見が反映されるのかが懸念されるとの考へを述べた。
 広く議論した上での意見が反映されることが望ましいのは、もちろん訴訟対応に限ったことではなく、本庁におけるさまざまな施策等についてもいへることだらう。今回の会議においては時間が足りなくなるほど多くの意見や質問などが寄せられたが、評議員には全国の神職・総代の代表であるといふ自覚と責任を再確認した上で、今後とも最高議決機関に相応しい真摯な議論を願ふものである。

 新型感染症の経験を経て「新しい生活様式」が提唱され、大きな社会変化が予想されてゐる。既存のさまざまなことの存在意義が問はれてをり、神社界においても広く叡智を結集して一丸となった対応が求められるだらう。
 内外に課題の山積するなかで、来年は昭和二十一年の神社本庁設立から七十五周年の節目を迎へることとなる。神社界として今後いかにあるべきなのか、役職員や評議員はもとより全国各地の神職・総代が、それぞれ神社界を担ふ構成員の一人であるとの認識のもと、わがこととして考へていかねばならないのではなからうか。また、さうした各地の神職・総代の声を施策に反映させていくためにも、評議員会はもとより支部・神社庁・神社本庁等の各種会議がより有効に機能することを期待したい。

令和二年十一月二日

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