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杜に想ふ 喜びに満ちた年に 山谷えり子

令和3年01月01日付 11面

 皇紀二千六百八十一年、令和三年あけましておめでたうございます。新年を迎へるにあたり、皇室の弥栄、五穀豊穣、天下泰平、国土安穏、万民豊楽を祈念いたします。
 辛丑(かのと・うし)の本年は、辛くたいへんな出来事を乗り越えてまったく異なる段階に移る年といはれてゐる。
 六十年前の辛丑の年は、坂本九さんの「上を向いて歩こう」、植木等さんの「スーダラ節」、フランク永井さんの「君恋し」などが大ヒット。第二次池田勇人内閣では成長経済の課題が議論され、国民皆保険制度が確立した。また、「巨人・大鵬・卵焼き」「女子学生亡国論」「地球は青かった」などが流行語として社会を賑はしてゐた。今年はどんな年になるのか予測するのは難しいが、日本の長い歴史と美しい情操に満ちた先人たちの営みから力をいただきながら時代を切り拓いていきたい。
 私の毎年の元日は、早朝に起きて若水を汲み、お雑煮を作り、近所に流れる多摩川の河原から富士山を仰いで「君が代」、千家尊福宮司作詞の「一月一日」、「富士山」の歌を小学生の時の気持ちで歌ひあげる。
 そして天皇・皇后両陛下への御挨拶に宮中へと参り、日枝神社、靖國神社、氏神様に初詣し、支援者の皆さまに挨拶回りをするといふことになってゐる。
 昨今は、世界的に分断や格差が広がり、人の心も不安定で荒々しくなりつつある。ニュースもさうした状態への怒りをクローズアップしていくので、心も波立っていく。もちろん不当さや困難に向き合って解決を求めていくことは大切なことではあるが、不条理だけに心がとらはれてゐると、日本人の思ひやりや仲良く生きていく知恵が見失はれていきがちになってもいかう。
 私の祖母はちいさな田舎の商店街で書店を営んでゐた。「すべての商店街のみんなのお店で、満遍のう買ふんやで」と、少女時代の私はよく言はれたものだった。
 衣類の店が三軒ある場合、趣味の合ふ店もあれば合はない店もある。しかし、祖母は「満遍のう買ふんやで。趣味が合はないなら下着を買へばいい。できるだけ笑顔で、うれしいっていふ雰囲気を出して買ふんやで」と言ひ、実行してゐた。
 祖母は、人はお互ひに喜び合ひながら暮らすものだと考へてゐたのだらう。喜びを交換し合ひながら生きるのが人の道だと思ってゐたのかもしれない。そして、私は最近になり、かうした日本人の心こそ神道なのだなぁと思ふのである。
 東京オリンピック・パラリンピック競技大会も開催される今年が喜びに満ちた年となりますやうに。
(参議院議員、神道政治連盟国会議員懇談会副幹事長)

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