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神々への美宝 宗像大社企画・監修、山村善太郎写真 当時の色彩や技術 鮮やかに捉へた書

令和3年03月29日付 6面

 まづ、何といっても表紙の美しさに目を惹かれる。海を想起させるやうな青が特徴的なこの表紙の装飾品は、沖ノ島で出土した六~七世紀のガラス製小玉の腕輪である。
 沖ノ島は福岡県に鎮座する宗像大社辺津宮から約六十㌔離れた海上、玄界灘に浮かぶ島だ。島の南側には、島の神の存在を象徴する巨岩群があり、そこに宗像大社沖津宮が鎮座する。巨岩群の岩上や岩陰には、四世紀後半から十世紀初頭頃まで神へとささげた神宝類が納められ、祭祀遺跡として残されてゐる。表紙の腕輪をはじめ、本書に収められた神宝の数々は、その祭祀遺跡から出土した遺物の一部である。これらは神々への捧げものであり「沖ノ島神宝」としてすべてが国宝に指定されてゐる。
 本書はこれら神宝の芸術的な面に注目した写真集であり、当時の貴重品である鉄製品や美しい装飾品など、それぞれの意匠をじっくりと堪能することができる。

 旅が難しい今、「汝三神 宜しく 道中に降居して 天孫を助け奉りて 天孫に祭かれよ」といふ『日本書紀』の一文からはじまるこの美しい写真集を手引書に、古代の神祭りに思ひを馳せる旅へ出てみるのもいいかもしれない。
〈本体1818円、求龍堂刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉
(國學院大學大学院特別研究生・髙橋あかね)
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