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論説 変化と将来を見据ゑ活動を 神青協が総会

令和3年05月03日付 2面

 神道青年全国協議会(神青協)の定例総会が四月二十三日に開催された。
 新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されるなか、会員の多くがウェブ会議システムを介して地元から参加。前年度の会務報告と決算の承認、新年度の活動方針並びに事業計画と予算の決議に加へ、任期満了にともなふ役員改選があり、昨年十一月の臨時総会で選出されてゐた小林慶直会長をはじめとする新執行部が承認された。
 新年度の活動方針並びに事業計画では、新型感染症の蔓延による生活の変化や過疎化にともなふ地域共同体の脆弱化などに触れ、神社の護持運営・祭祀祭礼の継承における影響を懸念。その上で、「神社神道また神職一人一人が、世の中や地域から必要とされる存在であり得るのか、あり続けられるのかが今問はれてゐる」との認識が示されてゐる。また環境・生態系の破壊などの課題に対し、持続可能な社会を築くための知見を深めることが盛り込まれ、全国会員の絆を一つに結び固め、この時代の大転換期に臨むとの決意が表明された。新たに就任した小林会長以下新執行部のもと歩んでいく、神青協の今後の活躍に期待したい。

 神青協は、一昨年の平成三十一年に創立七十周年記念大会を挙行してをり、昭和二十四年の発足から決して短くない歴史を積み重ねてきた。さうしたなかで、親子二代、さらには三代に亙って神青協に携はるやうなケースも見られ、新たに会長となった小林氏も親子二代での会長就任となる。
 また、神青協で育んだ全国各地の会員同士の繋がりは、地元での日々の神明奉仕における刺戟ともならう。さらに神青協で活躍した会員が、退会後に神道政治連盟青年隊の活動を担ったり、さらには各神社庁の協議員・理事、神社本庁の評議員・理事を務めたりと、のちに斯界の中枢で重責を担ふやうな事例も少なくない。
 父から子、子から孫へと世代を超えて神青協に携はってきた会員たち、また神青協としての活動体験を共有した全国各地の会員たち。その縦と横との繋がりのなかで、これからも斯界を支へ続けてほしいものである。

 昨年来のコロナ禍のなか、神青協ではいち早く会員を対象とするアンケート調査を実施。緊急事態宣言下における現状把握に努めつつ課題や問題意識を共有し、ウェブ会議の導入なども積極的に進めてきた。また、かねてからフェイスブックやインスタグラムなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を活用した教化・広報にも取り組むなど、若者らしい感性で斯界の尖兵としての活動を展開してゐる。
 一昨年の夏期セミナーでは、国際連合が採択した「持続可能な開発目標」(SDGs)について学ぶべく外務省の担当者を講師に招き、昨年の夏期勉強会では「『新たな日常』における神社の在り方」を主題とし、「ウェルビーイング」といふ概念に着目しつつ、価値観の多様化する社会における神社・神道の役割を再検証した。
 現役員らは戦後復興から続く高度経済成長を経験せず、バブル経済の崩壊後に成人してゐる。一方向的な拡大・成長への理想よりも、持続可能な社会の大切さや、価値観の多様化を肌で感じ、また十年、二十年先のことを自身の関心事として現実味を持って意識できる世代ともいへよう。その中・長期的な視点こそ、これからの斯界を考へていく上で重要ではなからうか。

 コロナ禍のなか、また、かねてからの過疎化などを含め神社をめぐる社会環境が大きく変化していくなかで、「神社神道また神職一人一人が、世の中や地域から必要とされる存在であり得るのか、あり続けられるのか」といふ神青協の問ひかけは切実である。
 昭和二十四年の神青協発足に際して掲げられた宣言文には、「民族精神の基盤たる神社信仰の本義に徹して、変貌する時局に対処し、永遠なる伝統の生命を旺にし以て国家再興のため、強力なる運動を展開せんことを期す」との一節が掲げられてゐる。かうした先人の理想を確認しつつ、そこから何を受け継ぎ、さらには現代的なあり方を考へていくのか。その思索の過程は斯界の将来を担ふ会員たちにとって、必ずや大きな遺産になると信じるものである。
令和三年五月三日

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