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論説 神道精神のもと団結して対応を 神政連常任委を終へ

令和3年06月28日付 2面

 神道政治連盟の中央委員会が、常任委員会として六月十日に開催された。東京に緊急事態宣言が発出されてゐた時期の已むを得ざる措置で、昨年に引き続き二度目のこととなった。
 長引くコロナ禍において、各種の集会や行事が中止や規模縮小を余儀なくされてゐるが、人々の移動が制限されるなか、オンライン会合やリモート参加といった新しい集会や会議の形態が、国内でも国際的にも急速に広まった。それはまた、人々の働き方や学び方をも変へ、利点とともに暮らしや人間関係、さらには精神や価値観の面においても変化を引き起こしつつあることを看過してはならないだらう。
 このやうな状況下にあって神政連は、新型感染症の蔓延が炙り出した緊急事態における対処などの新たな諸課題に取り組むとともに、常任委員会で採択・決議された令和三年度の活動方針に基づき、関係諸団体とも連携・協力の上、それぞれの事業計画を重点的に実施していくことが肝要であらう。

 令和二年度において神政連は、皇室の尊厳護持運動、憲法改正を目指す自主憲法制定運動、安全保障と領土問題への対応、わが国の伝統的家族観を損なふ虞のある夫婦別姓・男女共同参画・性的少数者をめぐる問題への取組みなどを中心に諸施策を推進してきた。通常国会は六月十六日で閉会したが、神政連国会議員懇談会との連携のもと、憲法改正に必須の国民投票法の改正案を成立させ、また十年来の懸案だった外国人によるわが国の安全保障上重要な土地や国境離島等の土地の買収対策としての土地利用規制法の成立をみたことも運動の成果といへよう。
 他方、神政連と連携しつつ活動してきた自民党の保守系議員が所属する「保守団結の会」や「『絆』を紡ぐ会」の働きかけもあり、政府の第五次男女共同参画基本計画において選択的夫婦別氏(姓)制度の導入推進の文言が改められ、また一部の自民党議員などが熱心に推進してゐた性的少数者への国民理解を促進する議員立法については、混乱を招きかねない文言を法律に盛り込むことへの懸念などから、国会への提出が見送られることとなった。

 最重要の皇室の尊厳護持運動について神政連では、小泉内閣時の皇室典範に関する有識者会議設置以来、皇位の安定的継承を目指して取り組んできた。昨年十二月には菅義偉首相に対し、同国会議員懇談会と共同で皇室の将来的安泰化に向けた方策に関する申入れをおこなひ、可及的速やかに検討するやう要請した。これに呼応する形で政府は、「『天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議』に関する有識者会議」を設置し、三月二十三日から会合を重ねてゐる。
 この有識者会議は、附帯決議の「安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等について」検討し、政府に報告書を提出することになる。その時期は衆議院議員総選挙を控へて今のところは未定だ。議論の参考にするためのヒアリングはすでに五回に亙って開催され、皇室制度に関係のある専門分野の識者など八人の女性を含む二十一人からの意見聴取を終へた。今回、初めて具体的な検討課題となった元皇族の皇籍復帰や過去に例のない、いはゆる女系天皇や女性宮家などについて、一般人の知識と理解は乏しい。今後の議論と論点整理に注目しつつ、万世一系の皇室伝統を護持するために世論の啓発に努めていかなければならない。

 神政連が取り組む諸課題はいづれも国家の基礎と国民精神に関はる大切な事柄で、政府や国会を通じて実現していかねばならないことが多い。東京五輪後に想定される総選挙に向けての対策がひじょうに重要となってくるが、頼みの自民党議員のなかでもリベラル化が進み、真にわが国の良き伝統と国柄を尊び、護持しようとする保守政治家が少なくなりつつあるのは洵に残念なことである。
 また価値観の多様化や少数者の権利の名のもと、一部の利益や不都合の解消を立法で解決しようとする動きにも適切に対処していかなければならないが、何より健全な良識と寛容の精神の滲透に努め、社会の中での解決を目指すことが重要であらう。神政連と神社人はかうした困難な課題に対し、神道精神を奮ひ起こし、一致団結して取り組むことが期待されてゐるのである。
令和三年六月二十八日

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