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論説 敬神功労章 功績顕彰により信仰継承を

令和3年11月22日付 2面

 前号掲載の通り、敬神功労章の授与奉告祭が十一月五日に神社本庁神殿で執りおこなはれ、功績顕著な役員・総代・氏子崇敬者らが栄に浴した。
 従来、敬神功労章の授与は春と秋の年に二回おこなはれてきたが、昨年は新型コロナウイルス感染症の蔓延状況を踏まへて春・秋ともに中止となり、各神社庁を通じて受章者に功績状が伝達されてゐる。今年は春の授与奉告祭が延期となり、このほど春・秋あはせての授与となった。
 二年ぶりとなった授与奉告祭にあたり、長年に亙る役員・総代としての奉仕をはじめ、神社の護持運営や神徳宣揚への尽力、社殿造営や境内整備などの事業への協力、そのほか日参や清掃奉仕など、受章者の多大なる功績に深く敬意を表したい。



 敬神功労章は神宮及び神社の役員・総代や氏子崇敬者で、とくにその功績が顕著な者について、統理においてその功績を顕彰する制度。特別功労章(金章)、功労章(銀章)、有功章(七宝章)の三等級が設けられてをり、神社による申請、各神社庁による内申、選考委員会の審査を経て授与が決定する。昭和四十七年に制度が設けられ、翌年の第一回の際には七十人が受章してゐる。春・秋あはせての授与となった今年は、特別功労賞一人、功労章六人、有功章三十七人に各章が授与された。
 今回の受章者を見ると、六十五年の長きに亙る総代としての奉仕、農業を営む役員が月次祭・例祭に神饌として欠かさず野菜を奉納してきた事例、祭礼行事への積極的な参加と神宮大麻や氏神神札の頒布への尽力、百段を超える参道階段をはじめ境内・社殿の清掃奉仕の継続、太鼓の名人としての祭事等での演奏奉仕、自身が代表を務める会社の全社員による月一回の境内清掃――等々、さまざまな功績が挙げられてゐる。それぞれの功績からは、受章者一人一人の篤い敬神の念が伝はってくる。さうした敬神の念に基づく神明奉仕の姿について、広く神社関係者の亀鑑としていきたい。



 神社の日々の管理や護持運営において、役員・総代の協力が欠かせないことはいまさらいふまでもない。とくに近年は神社をめぐる社会環境が大きく変化し、さまざまな課題にも直面するなかで、役員・総代の役割はこれまで以上に重要性を増してきてゐるといへよう。
 例へば、少子高齢化や過疎化が急速に進行していくなかで、地方の神社などでは代表役員・責任役員の後継者不足が深刻な課題となりつつある。役員・総代の選任に苦慮するやうな状況もあるなかで、今回の受章者においても父祖より代々総代を務めてきたといふ敬神家がゐることなどは心強いものといへるだらう。
 また敬神功労章の授与にあたり、神宮大麻や氏神神札の頒布への尽力が評価される例も少なくない。この神宮大麻・氏神神札の頒布に関しては、都市部をはじめとする単身世帯の増加などから、家庭祭祀の継承が困難になってゐることも懸念されてゐる。来年の神宮大麻全国頒布百五十周年を期し、役員・総代をはじめ頒布奉仕者の協力により、さらなる積極的な活動推進が期待されるところだ。
 もとより役員・総代の位置付けや役割については神社によって相違もあり、必ずしも一様には論じられないが、さまざまな課題に直面する現在、神職と役員・総代が密接に連携しつつ神社を護持運営していくことが求められてゐるといへよう。



 今回の授与奉告祭は新型感染症の影響で二年ぶりとなったが、この間、各地の神社では祭礼行事の規模縮小や中止などを余儀なくされてきた。現在は全国的に新規感染者が減少してゐるものの「第六波」を懸念する声も聞かれる。コロナ禍の経験により社会が大きく変化していくことも予想されてをり、これまでの信仰のあり方を改めて見つめ直すやうなことも必要となるのではなからうか。
 さうしたなか、役員・総代・氏子崇敬者の功績に光を当てて顕彰していくことで、先人たちから受け継いできた敬神の念や真摯で素朴な信仰のあり方を再確認し、今後とも大切に守り伝へていきたい。そのためにも、敬神功労章といふ制度のさらなる周知と活用に期待するものである。

令和三年十一月二十二日

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