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論説 新執行部の早期発足を願ふ 青葉会議を終へて

令和4年06月06日付 2面

 今号掲載の通り、神社本庁の五月定例評議員会を中心とする斯界恒例の青葉会議が終了した。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、会議等の開催にはいまだ少なからず制約もあるものの、全国神社総代会の代議員会や五月定例評議員会は三年ぶりに大講堂に参集する従来の形で開催。また神社本庁表彰式も参列者を限定したものの、被表彰者や来賓など参集のもとで挙行することができた。
 神社本庁の役員改選期にあたる今年、評議員会は例年より一日多い三日間の日程でおこなはれた。まづ以て全国の神職・総代を代表して連日の会議に臨み、斯界の将来のため熱心に議論した評議員各位に改めて敬意を表するとともに、その運営にあたった事務局の労をねぎらひたい。

 今回の評議員会では、執行部から提出された令和四年度一般会計歳入歳出予算案等を決議。このなかで負担金については、新型感染症の影響に鑑みて一昨年・昨年と同様に三割減で計上されてゐる。また令和五年度以降の負担金の取扱ひに関しては、負担金賦課制度等財政調査委員会を設置して改めて審議する予定だといふ。このほかコロナ禍における支援策として設けられた災害等対策資金からの借入に関する特例措置について、今後の神社への影響がいまだ不透明なことから、申請期限を一年延長する規程案も決議された。
 また各地区からは、安定的な皇位継承に向けた法整備のための国民啓発活動・国会対策をはじめ、これまで継続的に提出されてきた憲法改正への対策や英霊顕彰の心の護持顕現に加へ、「明治の日」の制定、神宮大麻全国頒布百五十周年に際しての意義啓発、神社本庁設立八十周年を見据ゑた規程等の見直し、ウクライナ支援等に係る議案が提出され、いづれも決議されてゐる。
 かうした決議事項を見ても、当面する課題の多いことが改めて確認されよう。いづれも斯界一丸となった対応が求められることはいふまでもない。

 このほか評議員会では、神社本庁職員による地位確認請求訴訟に関はる報告があった。当該訴訟に関しては、四月二十一日に最高裁判所が本庁による上告の棄却を決定し、職員の解雇、降格・減給を無効とし、当該職員の雇用契約上の地位を確認するとともに、本庁に未払賃金等の支払ひなどを命じた判決が確定してゐる。
 本庁当局からは判決確定を踏まへた対応等に関して説明があり、これに対して出席者からは、訴訟費用や責任の所在をはじめ、神職を労働者とする意識と法令遵守との関はりなどについて、数多くの質問や意見が寄せられた。議事の運営・進行との関係から不完全燃焼と感じた向きもあるかも知れず、また見解・認識の相異から議論が平行線に終始するやうなこともあったが、いづれも斯界の現状・将来を真剣に考へての発言として重く受け止めるべきであらう。
 かねて評議員会での議論が低調であるとの指摘があったことを思へば、その議事内容はさておき、多くの質問や意見が寄せられたことは評価できよう。

 評議員会終了後には、新たに選出された理事・監事らによる臨時役員会が開催された。慣例であれば総長・副総長の指名、常務理事の互選がおこなはれ、結果が各神社庁に通知されるが、今回は未だ通知に至ってゐない。評議員会に際しては、四年半に及んだ訴訟の判決確定を、斯界の大同団結に向けた新たな一歩を踏み出す契機とすることが期待されたのではなからうか。全国各地の神社が、それぞれ地域社会において信頼される組織として存在しようとするなか、その集合体である神社本庁が同じく世間からの信頼を得るために、今後を見据ゑた有意義な議論のおこなはれることが望まれた。ただ先に触れたやうに見解・認識の相異は大きく、新執行部には確乎たる信念とともに、バランス感覚や調整能力なども求められよう。
 どのやうな執行部が発足するのか、斯界の現状・将来を憂へる多くの神社関係者が注目してゐる。もとより拙速に結論を出すことは避けなければならないが、内外に課題の山積するなか、新執行部が一日も早く発足し、より広範な神社関係者からの信頼を背景に、時宜に応じた活動・施策が実施されることを切に願ふものである。
令和四年六月六日

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