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杜に想ふ 武の道 山谷えり子

令和4年07月18日付 5面

 参議院議員選挙を経て、「国家安泰」「御皇室の弥栄」に心を合はせて進むやう願ひを託されたと感じてゐる。十七万二千六百四十・一六九票の重さを背に、引き続き日本の心を政策にといふ道を、国家国民の幸せのために歩んでいきたい。
 幕末の黒船来襲で先人たちは現実を直視し、強靱な国づくりのため国家基盤の強化をなした。今は、“令和の黒船”ともいへる厳しい状況にある。肝をすゑて励みたい。
 ある季節の暦でみると、ニイニイゼミの初鳴きは七月十一日、アブラゼミが二十日、ミンミンゼミが二十一日となってゐる。芭蕉が山形県の立石寺で「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」と詠んだのは元禄二年の七月十三日にあたるといふ。老若男女健やかに夏を乗り越えたいものである。
 現在、私は日本武道館と日本武道協議会の常任理事を務めさせていただいてゐる。夏休みは各地で少年少女の武道大会が開かれ、私もできる限りの出席を考へてゐる。私自身、学生時代から合気道をはじめ、五十年以上たった今も本部道場でお稽古させていただき、武道から力をいただいてゐることに感謝いっぱいである。合気道の開祖、植芝盛平翁は熊野の那智の滝、熊野本宮大社「大斎原」で霊的な力を得て合気道をあみだしたとされ、「武は神の立てたる道。真人を作る道である」と言はれてをられたが、日本の武道は霊性を磨き、道の心を生きる根源となってゐるやうに感じる。
 第一次安倍内閣の教育基本法改正で、教育目標に「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」が記され、中学校での男女武道必修化が実現した。当時、私は総理大臣補佐官として根回しに駆け回ったが、野党にも理解者が多く、必修化がスムーズに進んだことには武の底力を思はされ、感激したものだった。
 日本武道館が令和元年、二年度に全国の教育委員会に武道必修化のアンケート調査を実施したところ、学校現場から「日本古来の伝統文化に興味、関心を示すやうになった」「礼の素晴らしさに気づき、相手を尊重する態度など精神面での成長を感じる」「女子生徒が活溌に取り組むやうになってゐる」などの声があがり嬉しく思った。全体の約七割の学校が武道授業を年間八時間以上おこなひ、なかには約十五時間おこなってゐる学校もあるといふ。武道九種(柔道、剣道、弓道、相撲、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなた、銃剣道)のいづれをおこなってもよく、地域によってバラエティーがあるのも嬉しいことであった。
 品格ある生き方には、歴史と文化のタテ糸が重要である。武道の動きから御先祖さまの身体文化に触れ、心を育ててほしい。そして武道に限らず、少年少女の夏は体を鍛へ、山や海や野にあって、明るく闊達な心が育つ季節であるやう祈ってゐる。
(参議院議員、神道政治連盟国会議員懇談会副幹事長)

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