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論説 コロナ禍の夏休み 状況を慎重に見極め対応を

令和4年08月01日付 10面

 一昨年初頭からの長引くコロナ禍のなかで、三度目の夏休みの時期を迎へてゐる。
 一昨年は春からの緊急事態宣言が解除され、神社における感染症対策のあり方や、会議・研修に際してのウェブ会議システムの導入など、コロナ禍におけるさまざまな対応の方途を摸索するなかでの夏休みだった。また昨年は、一年延期となってゐた東京五輪の開幕直前から感染者の増加が顕著となり、緊急事態宣言の対象地域が各地に拡大していく時期と重なった。コロナ禍のもと三度目の夏となる今年は、各種の大会や研修会などを従前に近い形で再開するやうな動きもあったが、七月半ば以降は感染者数が増加して各地で過去最多の更新が続き、その急拡大が懸念されてゐる。
 依然、重症化率や死亡率は比較的低く抑へられてゐるとはいへ、都内では救急搬送が困難となる状況が生じ、また沖縄では感染者・濃厚接触者の急増により、医療従事者の欠勤にともなふ人出不足などが深刻な課題にもなってゐるといふ。社会経済活動の再開が進みつつあるなか、改めて慎重に感染防止との両立を図っていきたい。

 感染が急拡大するなか、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は先日、現状では行動制限は必要ないとしつつ、いはゆる「第七波」に入ってゐるとの認識を表明。同分科会が纏めた五つの対策として、「ワクチン接種の加速化」「検査のさらなる活用」「効率的な換気の提言」「国・自治体による効率的な医療機能の確保」「基本的な感染対策の再点検と徹底」を示し、その重要性を強調してゐる。
 ワクチン接種をはじめ新型感染症に対する考へ方はさまざまあらうが、それぞれの立場においてできることを確実に実施していくことが求められよう。神社関係者においても、これまで通り基本的な対策を徹底しながら神明奉仕に努めるとともに、一日も早い新型感染症の収束を祈り続けたい。

 「コロナ疲れ」「コロナ慣れ」などといはれるやうに昨今は危機感が稀薄化するやうな傾向も見られ、また感染力が高いとされる現在の変異株のもとでは、いつ誰が感染してもをかしくない状況ともいへよう。先に触れたやうに重症化率や死亡率は比較的低いとはいへ、あまりに急激な感染者・濃厚接触者の増加は医療や社会福祉をはじめ人々の日常生活にも大きな影響を及ぼしかねず、政府では濃厚接触者の待機期間の短縮を決めてゐる。
 各地の神社でも複数の職員が感染した場合や、とくに一人奉仕の神社で多くの兼務神社を抱へる場合など、感染者の発生により日々の神明奉仕に支障が出るやうな状況も生じかねない。祭神への奉仕が疎かになるやうなことがないやう、また氏子・崇敬者に対して常に安心・安全な祈りの場を提供できるやう努めることが求められよう。
 現状においては、職員や家族などに感染者が発生した場合を想定し、近隣神社や支部などとの連携のなかで相互扶助体制の構築をはじめとする対策を講じておきたい。かねて過疎地域神社の活性化においても相互扶助体制の構築の必要性が指摘されてきたやうに、さうした連携はコロナ禍に限らず、これからの神社護持の上でも重要な役割を果たすことに繋がっていくのではなからうか。

 二年半に及ぶコロナ禍において、感染者数の累計は一千万人を数へ、死者も三万人を超えた。さうしたなかで子供や学生たちの夏休みの時期にあたる八月を迎へ、さらには故郷への帰省などにより人々の移動が多くなる盆休みも間近に迫ってゐる。各地の神社においても、コロナ禍以前であれば緑陰教室をはじめ神社を活動母体とするボーイスカウトやガールスカウトの活動などが盛んにおこなはれ、境内には子供たちの元気な声が響く時期となる。
 政府においては熱中症予防の観点から、屋外で身体的距離が確保できる場合にはマスクを外すことを推奨していくといふ。神社における祭礼行事をはじめ、子供たちが参加するやうな催事等に際しても、基本的な感染対策を徹底することはもとより、かうした政府の方針などを確認するとともに、日々刻々と移り変はるそれぞれの地域社会の状況、また氏子・崇敬者など関係者の意識などを踏まへながら、慎重に対応を図っていきたい。
令和四年八月一日

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