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【新刊紹介】世俗化論の生成―宗教という問いのゆくえ― 諸岡了介著

令和5年11月13日付 6面

宗教社会学における 系譜を網羅的に解説

 「世俗化」とは、大まかには宗教的なものから離れていく社会的傾向一般を指す語である。本書は宗教社会学における世俗化論の系譜を、学説史の網羅的解説によりたどりつつ、今日の学術にあって何がどのやうに問はれるべきか、の考察に及ぶ著作である。
 著者は、島根大学学術研究院教育学系教授である。

 本書は学術専門書であり、近現代宗教研究史の予備知識を持たずに一読しただけでは、理解できる内容ではないと思はれる。ただし我々は、非欧米の日本であっても近現代社会の約束事を前提に生きてゐる。丁寧に読まれることで、本書の問題意識は、専門研究者は勿論それ以外の人々にも共有されて良いと考へる。
〈税込4950円、ミネルヴァ書房刊〉
(國學院大學神道文化学部教授・菅浩二)

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