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【新刊紹介】住吉大社叢書第1巻 すみよっさんの境内と石燈籠 住吉大社叢書刊行会企画・住吉大社編集  住吉公園と住吉さん―住吉大社から生まれて150年― 水内俊雄・小出英詞編著

令和6年03月25日付 6面

境内に巨大の石燈籠数多ありて頼山陽の字を彫りし燈籠あり当社の前の松林は住吉公園にて茶店諸所にあり遙か西の海辺に常夜燈あり住吉の高燈籠とて世に名高し
 これは明治二十八年、藤の家主人(翻訳家、新聞記者の加藤紫芳)による名所案内『大阪けんぶつ』(矢嶋誠進堂)が描写した官幣大社住吉神社をめぐる景観である。
 全国に約二千三百社鎮座する住吉神社の総本社である摂津国一之宮住吉大社(昭和二十一年に社号改称)は、「住吉さん」と呼ばれ、大阪を中心に広く各地から崇敬を集めてきた。河内国育ちの私も大阪人の自覚を持ち、その呼称に親しんで参詣してきた一人である。
 昨年、「住吉さん」の境内・石燈籠と同社(旧境内)から生まれた隣接空間の住吉公園について、カラー図版を豊富に用ゐて分かり易く紹介した二冊の書籍が立て続けに刊行された。いづれも冒頭に引いた景色の解像度が上がる好資料となること請け合ひの品である。

 これまで同社の関連出版物は、『住吉大社史』上・中・下巻をはじめ、一般書に至るまで多数刊行されてきたが、今回紹介した両書は、神社を軸とする産学官民連携のお手本となるやうな事業によって幅広い視野から見出された、近世・近現代の住吉大社像を更新する試みとなってゐる。何より、いづれも全国各地に存在する神社の信仰や境内を源泉とする(神社なくしては有り得なかった)都市空間の成り立ちと公共的な価値、現在の在り方を考へる上で大きな示唆が得られる良書である。本紙読者各位に御一読をお勧めしたい。
〈『すみよっさんの境内と石燈籠』税込1320円、清文堂出版刊。『住吉公園と住吉さん』税込4180円、東方出版刊。いづれもブックス鎮守の杜取扱書籍〉
(國學院大學人間開発学部健康体育学科教授・藤田大誠)
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