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杜に想ふ 希望を感じる年へ 山谷えり子

令和7年12月01日付 4面

 国会周辺の銀杏の落ち葉が、赤ちゃんのやうに小さい。暑すぎた夏のせゐなのかしらと思ひながら、季節のめぐりのなか、マフラーをして歩いてゐる。
 十二月は、いよいよ来年度の予算と税制の戦ひの時期で議員連盟の活動も活溌となり、政府と議論の日々を続けてゐる。
 まづ、相次ぐクマ被害への対応については、高市早苗総理からバトンをつないで私は現在「鳥獣捕獲緊急対策議員連盟」の会長をつとめてをり、警察、自治体や全国の猟友会の皆さまと話し合ひを重ねて速やかな緊急実施体制づくりの密度を高めてゐる。ハンターの増員支援や自治体間で差がある捕獲手当の増額、平準化に加へ、中期的な山と森の整備については林野庁と話をしてゐる。一般狩猟者は全国に約二十二万人をられるが、銃器でのクマ捕獲経験者はそのうち約三千人といふ現状のなかで、ノウハウの共有は欠かせない。クマの棲み処である国有林はスギやヒノキがほとんどとなり、ブナ、ミヅナラ等の実のなる樹は伐採され、人手不足と太陽光パネルや尾根の風力発電のため山は悲しいほどに荒れてゐる。豊かな山を取り戻すべく、「鳥獣被害防止総合対策交付金」の拡充もしながら、農林業関係者も守っていきたい。
 また、「有人国境離島地域の保全・振興を推進する議員連盟」では会長代行をつとめてゐるので、国境離島に足を運んで視察を重ねてゐるところである。私が海洋政策・領土問題担当大臣をつとめた十年前、すべての国境離島の状況を調査し、二百七十三のもの島が所有者不明であったことに驚き、管轄を確定したが、今日、多くの離島では過疎化、高齢化が進み、基幹産業の不振や物価高など生活を取り巻く状況は厳しさが増すばかりである。「特定有人国境離島地域社会維持推進交付金」などで支援強化し、法改正に向けても取組みを進めてゐる。
 政治の役割はたいへんな状況を克服して明るい未来を作ることにある。高市内閣の日本成長戦略本部は十七の戦略分野を定め、攻めの成長のための足場固めをしてゐるが、かうしたなかで、最も早く世界一になれさうなのが文化エンタメ“コンテンツ”である。今や海外売上は五・八兆円で、半導体産業や鉄鋼産業を超える輸出産業、基幹産業となってをり、マンガ、アニメ、ゲーム、映画は世界中に日本ファンをふやして安全保障強化にもつながってゐる。私は「コンテンツ産業振興議員連盟」の副会長をつとめてゐるので、小野田紀美クールジャパン戦略・知的財産戦略担当大臣や松本洋平文科大臣、山田賢司経産副大臣に官民による大規模戦略的投資について提言を出したところである。「日本と日本人の底力を信じてやまない」とたびたび発言する高市総理のもと、来年を国民の皆さまが希望を感じる年としていく覚悟である。
(参議院議員、神道政治連盟国会議員懇談会副幹事長)

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