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準備委員会の設置受け 祭典・儀式につき要望 時の流れ研究会

平成30年01月29日付 1面

 神社新報社が設立した「時の流れ研究会」(会長=高山亨神社新報社社長)は一月二十四日、政府が「天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に伴う式典準備委員会」を一月九日に設置したことなどを踏まへ、「『天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に伴う式典準備委員会』設置にあたり要望」を発表した。
 「要望」では、御譲位による皇位継承に伴ふ祭典・儀式に関し、「皇室の歴史・伝統・文化に則って可能な限り先例を尊重」することなど、これまでの同会の基本的な主張を五点に亙って改めて提示。具体的な祭典・儀式として、「今上陛下の御即位三十年を祝ふ式典」「皇室又は国家の大事(御譲位)を奉告する祭典」「御譲位の儀」「剣璽等承継の儀(剣璽渡御の儀)」など八項目を挙げて解説してゐる。
 その上で、憲政史上において初めてとなる御譲位に伴ふ皇位継承の祭典・儀式等について、皇室の関連する先例・伝統を尊重しながら憲法と「皇室典範特例法」とを勘案し、「式典準備委員会」において内閣と宮内庁との密接な協議・検討により決定されることを望む内容となってゐる(全文別掲)。

「天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に伴う式典準備委員会」設置にあたり要望 神社新報社時の流れ研究会 平成三十年一月二十四日

はじめに


 一月九日、政府は即位の礼を始めとする関連式典の準備を総合的、計画的に進めるための基本方針を検討する「天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に伴う式典準備委員会」を設置、第一回の会議が開かれ、今後、月一回程度、有識者の意見も聞き、三月中旬を目途に基本方針が取りまとめられる。主な検討課題は、憲政史上で初めての「御退位」に伴ふ皇位継承の儀式のあり方や日程、規模などである。
 本会では、これまで「御譲位・御即位」に伴ふ皇位継承に関はる諸問題に対して四回にわたり見解・意見を発表し、関係機関・神社界他に提言してきた(詳細は、神社新報社ウェブサイト「時の流れ研究会 御譲位・御即位の見解」参照)。
 準備委員会の本格審議にあたり「御譲位(退位)」と「御即位(践祚)」に関はる祭典と儀式の次第・形式・内容、また期日のあり方ならびに御即位奉祝三十年式典について、本会のこれまでの見解・意見と、その後重ねた検討案、及び準備委員会の第一回議事概要等も踏まへて、改めて現在の考へ方と具体案の要点を整理して要望する。

一 祭典・儀式に関する本会の基本的な主張


 このたびの御譲位による皇位継承に伴ひ、行はれるべき祭典・儀式の次第・形式・内容などのあり方について、本会が提示してきた見解の基本的な主張は次の通りである。
  皇室の歴史・伝統・文化に則って可能な限り先例を尊重し、古儀と新儀の調和した現代にふさはしい祭典・儀式であることを望む。
  「御譲位(退位)に関はる祭典」は、「御即位に関はる祭典」と同様、宮中三殿(賢所・皇霊殿・神殿)及び神宮・山陵を主体とし、可能なかぎり鄭重を期し、皇室の公的行事にふさはしい次第・内容となることを望む。
  皇室経済法で「皇位とともに伝わるべき由緒あるもの」とされる「剣璽」は、その儀式においてふさはしいお取り扱ひがなされることを望む。
  御譲位の儀と御即位(践祚)の儀は、同日・同じ場所で引き続き行はれ、「剣璽」が承継されることを望む。
  皇位継承の儀式は、憲法にも定められる皇位の重みから、国の重儀(天皇の国事行為、国の儀式)として執行されることを望む。

二 斎行されるべき祭典と儀式等


 基本的な主張をふまへ、御譲位以前ならびに御譲位と御即位(践祚)に際して斎行されるべき祭典と儀式等は、次の通り考へられる。

1 今上陛下の御即位三十年を祝ふ式典の挙行
平成三十一年は今上陛下の御即位三十年に当たり、また同年四月十日、皇后陛下との御成婚六十年を迎へられることから、両陛下に感謝と祝意を表す国家行事を望む。

2 御譲位期日奉告の祭典
御即位時と同様に、天皇陛下が神宮、宮中三殿、山陵に御譲位の期日を奉告される祭典。

3 皇室又は国家の大事(御譲位)を奉告する祭典
「御譲位」は、皇室祭祀令にある「皇室又は国家の大事」であることから、前例に準じて神宮、山陵に親告される祭典。

4 御譲位奉告の祭典
天皇陛下が、四月三十日限りで御譲位されることを宮中三殿に奉告される祭典。

5 御譲位の儀
「皇位」の象徴である「剣と璽」が奉安された宮殿において「御譲位のおことば」が宣べられ、総理大臣が国民を代表して、感謝・御礼の辞「奉答文」を申しあげる儀式。

6 剣璽等承継の儀(剣璽渡御の儀)
「御譲位の儀」に引き続いて、皇位の象徴である剣璽等が承継される儀式。

7 皇位継承奉告の祭典
新天皇陛下が御即位(践祚)され、皇位が継承されたことを宮中三殿に奉告される祭典。

8 即位後朝見の儀
新天皇陛下の「おことば」と、総理大臣からの「奉答文」から成る。「おことば」では、前天皇陛下に「上皇陛下」、前皇后陛下には「上皇后陛下」の称号と敬称が奉られることを望む。また剣璽の御動座が、「登極令」にならって行なはれることを望む。

をはりに


 憲政史上で初めてとなる御譲位(退位)に伴ふ皇位継承の祭典・儀式等が、皇室の関連する先例・伝統を尊重しながら憲法と「皇室典範特例法」とを勘案し、「式典準備委員会」において内閣と宮内庁との密接な協議・検討により決定されることを望みたい。
以上