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今年一年を振り返る (1面参照)

平成30年12月17日付 6面

(1面より続く)
神社界 【神社】今年も各地の神社では式年祭を迎へたり、社殿造替に伴ひ遷座祭を斎行したりした神社があった。このうち滋賀県野洲市の御上神社では四月十五日、遷座千三百年記念の奉祝奉幣祭を畏き辺りよりの幣帛を奉って斎行した。
 奈良県吉野郡川上村の丹生川上神社上社では五月二十日、畏き辺りよりの幣帛を献じて遷座二十年奉祝大祭を斎行。同社は昭和三十四年の伊勢湾台風を機に治水のため旧境内地が水没のやむなきこととなり、平成十年三月に現在地に遷座してゐる。
 また京都市西京区の松尾大社では「平成の御遷宮」と銘打った本殿の屋根檜皮葺替並びに修復工事が完了し、六月九日に本殿遷座祭を、翌十日に天皇陛下よりの幣帛を神前に奉っての本殿遷座奉幣祭を斎行した。
 福岡県宗像市の宗像大社では、沖ノ島に鎮座する沖津宮で今年二月から進めてゐた本殿及び拝殿の修復工事が完了。十月十三日に本殿遷座祭と御饌祭、また畏き辺りよりの幣帛料を奉っての奉幣祭を斎行した。
 岐阜県不破郡垂井町の南宮大社では、本殿の屋根檜皮葺替へ並びに修復工事をはじめとする「平成の大修理」が完了。十一月二日に本殿遷座祭を、翌三日に「平成の大修理竣功奉祝奉幣祭」を斎行した。
 また奈良・橿原神宮では、天皇・皇后両陛下より銅鏡及び附属品一式が下賜された(1面参照)ことから、三月二十一日に奉納奉告祭を斎行した。
 今年は四月に島根県西部で最大震度五強、六月に大阪府北部で六弱、九月に北海道胆振東部で七の地震が発生した。さらには「平成三十年七月豪雨」で記録的な大雨となり、以後も十二号、二十号、二十一号、二十四号と相次いで台風が上陸。各地で被害が生じてをり、神社関係でも多数の被害報告が上がってゐる。災害については神道青年全国協議会などによる復興祈願祭や復興支援等も各地でおこなはれた。
 【本庁】五月定例評議員会では北白川道久統理の退任に伴ひ鷹司尚武前神宮大宮司の新統理就任が決定。定例表彰では、千葉・淺間神社の宮間孝夫宮司と愛媛・軍ヶ森神社の長曽我部延昭宮司に長老の称号が贈られた。
 天皇陛下の御譲位を来年に控へ、神社本庁では今上陛下御即位三十年の奉祝や御譲位に伴ふ御大典特別活動等を総合的に実施するため、今年二月に「御代替特別対策本部」を設置。三月の役員会では基本姿勢・運動方針などを決議した。
 また神社祭祀審議会を三月と六月に開催。「平成三十一年に想定される奉祝等の神社に於て行ふ臨時祭祀について」「『践祚―即位』に関する祭祀について」「『譲位』に関する祭祀について」の三項目を審議・協議してゐる。
 また八月二十四日の第三十六回神社本庁神道教学研究大会は「天皇と御代替~朝儀復興から近代皇室制度へ~」を主題に開催。十一月二十九・三十の両日の全国教化会議は「御大典奉祝に向けた教化活動」を主題に開催された。
 このほか三月には報道関係者を対象とした伝統文化セミナー基礎講座を「即位礼・大嘗祭の歴史」と題して開催してゐる。
維新百五十年で
統理告示を発表
 神社本庁では慶応四年の「明治」改元の日にあたる九月八日付で、明治維新百五十年に際して維新の精神に立ち返り、大御心を体して神祇祭祀の伝統護持に万全を期すことなどを求める統理告辞を発表した。
 今年は各地の神社庁などでも、皇室制度や明治維新百五十年を主題とした研修会等が活溌に開かれた。
 【本宗奉賛】三月に伊勢の神宮で開かれた神宮大麻暦頒布春季推進会議では、神宮大麻頒布数が前年度を約五万六千体下回る八百五十六万四千七百七十五体となったことが報告された。本庁では神宮大麻暦頒布終了祭に併せ第四回神宮大麻都市頒布向上計画研修会を開催。「三カ年継続神宮大麻都市頒布向上計画」は七月から第二期二年目に入り、各地で施策が展開されてゐる。
 【過疎地対策】過疎地域神社活性化推進委員会は今年、神社本庁と神社庁による重点的な支援を展開する特区の選考と、後継者問題に関する協議等をおこなった。特区の選考は、慎重な検討を経て岡山・愛媛・長崎の各県神社庁から申請のあった三地域の指定を決定。十一月にはそれぞれの県神社庁で指定書交付式がおこなはれてゐる。
 【不活動法人対策】「不活動神社対策特別推進事業」については、二月に合同連絡会を開催。昨年十月に指定期間が終了した第一期指定神社庁と、今年四月からの第二期指定神社庁の担当者らが意見交換をおこなった。なほ一月には文化庁が主催する平成二十九年度不活動宗教法人対策会議が大阪と東京とで開かれ、包括宗教法人の役員、事務担当者等が参加してゐる。



 神社本庁教誨師に関しては「言葉による神道教誨 改善更生を図る講話方法」を主題とする第六十九回神社本庁教誨師研究会を八月二十七・二十八の両日、岡山市北区のホテルなどで開催。十月三十一日から十一月一日にかけては公益財団法人全国教誨師連盟の第三十七回全国教誨師大会が広島市内のホテルで開催された。
 神社本庁総合研究所が主催し、神道講演全国協議会が主管する神道講演全国研修大会は六月十九日から二十一日にかけて、神奈川県鎌倉市の鶴岡八幡宮で開催された。



 今上陛下の御即位三十年目となった今年、各地ではこれを奉祝して諸行事が展開された。このうち大阪では八月十八日に「天皇陛下御即位三十年をお祝いする府民の集い」を大阪市天王寺区のシェラトン都ホテル大阪で開催。神奈川県神社庁と県神社総代会連合会は「天皇陛下御即位三十年奉祝記念大会」を十一月二十九日に横浜市中区の関内ホールで共催してゐる。

関係諸団体 全国神社総代会では、設立六十周年記念第五十四回大会を九月二十六日、熊本市中央区の市民会館シアーズホーム夢ホールで開催した。また「明治維新百五十年と過疎化問題について」を主題とする第四十一回幹部研修会を四月二十三・二十四の両日、高知市で開催してゐる。
 【指定団体】創立七十周年を迎へた全国敬神婦人連合会は九月六日、創立七十周年記念第六十九回大会を池田厚子神社本庁総裁臨席のもと神奈川県横浜市西区の横浜みなとみらいホール大ホールで開催。式典では北白川慶子会長の辞任に伴ひ新会長に鷹司久美子神社本庁統理夫人が推戴された。
 神道青年全国協議会は十一月二十日に臨時総会を開き、来年四月からの次期会長に金田祐季氏(鳥取・宇倍神社禰宜)を選出した。三月七・八の両日には「地方創生~消滅可能性集落と神社の爾今を考へる~」を主題とする平成二十九年度中央研修会を長崎県佐世保市のJRAゲルックホールで開催。来年迎へる創立七十周年の記念事業の一環として五月二十四日には「北方領土早期復帰祈願祭」を根室市・納沙布金刀比羅神社境内の「北方領土の碑」前で斎行してゐる。
 神青協神宮啓発委員会は、昨年十二月から今年二月にかけて皇學館大学と國學院大學との学生を対象にした「家庭でのお祀りに関するアンケート調査」を実施。五月二十六日には、伊勢の神宮で神社本庁関係団体の会員を対象とする古殿地清掃奉仕事業をおこなった。
 全国神社保育団体連合会は四月二十七日に第六十七回総会を都内のホテルで開催。任期満了にともなふ役員改選では川合玄紘会長の留任などが決まった。
 全国教育関係神職協議会は六月二日、東京・渋谷区の國學院大學で「明治維新から学ぶこと~明治維新百五十年を迎えて~」を主題とする現職教員等研修会を開催した。八月八日から九日にかけては、第五十九回全国大会を岡山市中区の岡山国際ホテルで開催。総会では任期満了に伴ふ役員改選があり、新潟・佐藤英尊副会長が会長に就任した。
 全国神社スカウト協議会は、公益財団法人ボーイスカウト日本連盟が主催し、八月四日から十日まで石川県珠洲市で開催された「日本スカウトジャンボリー」に参加した。七日には皇太子殿下が御臨場になり、会場でスカウトらが飾り紐を製作する様子などを御視察され、夜の大集会ではお言葉を述べられてゐる。
 全国氏子青年協議会は第十回「全国鎮守の森こども相撲大会」を三重県伊勢市の神宮相撲場で四月七・八の両日に開催した。また七月七日には、創立五十五周年記念第五十六回定期大会を愛知県名古屋市中区の名古屋観光ホテルで開催してゐる。



 全国神職保護司会は、第二十九回総会を六月十一日に北海道登別市の登別グランドホテルで開催した。
 一般財団法人神道文化会は設立七十周年記念式典を五月二十五日に東京・千代田区の東京大神宮マツヤサロンで開催。式典に先立っては同会設立七十周年物故者慰霊祭が斎行された。また明治維新百五十年・創立七十周年を記念して実施した懸賞論文「明治維新百五十年記念近現代神道史懸賞論文」では、特選に東京大学大学院人文社会系研究科修士課程一年の木村悠之介氏と星川杉山神社権禰宜の中村聡氏が選ばれた。
 日本文化興隆財団は内閣総理大臣から公益財団法人としての認定を受け、七月一日付で登記をおこなった。かねてから準備を進めてきたもので、二月には定款変更案などを決議し、新たな理事・監事・評議員を選任してゐる。
 全国神社厚生年金基金の解散に伴ふ清算業務については、厚生労働大臣の承認により四月十六日に清算を結了した旨が五月八日付「官報」の「厚生年金基金清算結了公告」に記載された。
 全国女子神職協議会は設立三十周年を迎へ、七月九日に東京・港区の明治記念館で記念大会を開催。さだまさし氏の記念講演などがおこなはれた。



 靖國神社崇敬奉賛会は五月二十三日に定例総会と設立二十周年記念式典・祝賀会を開催。十一月十日には設立二十周年記念公開シンポジウム「生きるということ―日本文化の未来のために―」を開催し、彬子女王殿下が御講演されてゐる。
 全國護國神社會は三月二日に靖國神社参集殿で総会を開催。任期満了に伴ふ役員改選で副会長・塩野谷恒也氏(北海道護国神社宮司)の新会長就任が決まった。

時局 【皇室関連】天皇陛下御即位三十年をお祝ひ申し上げようと、民間各界を中心とする「天皇陛下御即位三十年奉祝委員会」の設立総会が十一月二十七日、東京・港区の「ザ・プリンスパークタワー東京」で、前日の二十六日には「天皇陛下御即位三十年奉祝国会議員連盟」の設立総会が千代田区の憲政記念館で開かれた。
 今上陛下の御譲位による御代替りの準備が進められるなか、神道政治連盟国会議員懇談会は御代替りに関する勉強会を四月十二日と五月十五日とに開催した。
 また超党派の議員で組織する日本会議国会議員懇談会は新元号について「新天皇御即位時(五月一日)に公表されることが原則」であることを六月五日の総会で確認。同議連「皇室制度プロジェクト」も七月に元号に関する勉強会を開いてゐる。
 【憲法】憲法改正に向けては、神社本庁も参画する「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が三月十四日に中央大会を東京・千代田区の憲政記念館で開催。「一千万賛同者拡大運動」の賛同者署名が二月末日時点で千一万八千二百二十一人に達したことが発表された。
 同会では「二十一世紀の日本と憲法」有識者懇談会(通称・民間憲法臨調)ととともに五月三日、東京・千代田区の砂防会館別館で「今こそ、憲法改正の国会発議を!」と題する第二十回公開憲法フォーラムを開催。十二月五日には、同館で、「待ったなし!憲法改正の国会論議全国大会」を開催し、憲法審査会の審議が停滞するなか、政局を離れて憲法審査会での審議を促進し、改正原案作成に向けた合意形成に努めるやう訴へた。
 なほ憲法記念日の五月三日を中心に各地で改憲に向けた行事が展開された。超党派の議員で組織する新憲法制定議員同盟は五月一日、東京・千代田区の憲政記念館で「平成三十年度新しい憲法を制定する推進大会~『自立と共生』に向けて~」を開催。新しい憲法をつくる国民会議(=自主憲法制定国民会議)は五月三日、東京・新宿区の四谷区民ホールで「第四十九回新しい憲法をつくる国民大会」を開催した。
 また日本会議国会議員懇談会の「憲法改正プロジェクトチーム」は二月二十七日に憲法九条をめぐる勉強会を東京・千代田区の衆議院第二議員会館で開催してゐる。
 神政連では四月、来夏の参議院議員選挙について、比例代表区に関しては有村治子参議院議員を推薦候補として決定した。なほ神政連ではタイ王国での第二十一回海外研修を四月四日から七日までの日程で開催した。
 【明治維新百五十年】今年は明治天皇が五箇条の御誓文を御沙汰され、明治改元の詔を発せられるなどした明治元年から百五十年といふ記念すべき年を迎へ、「明治改元」から満百五十年にあたる十月二十三日には政府主催による明治百五十年記念式典が東京・千代田区の憲政記念館で開催された。
 また東京・渋谷区の明治神宮と一般財団法人明治神宮崇敬会は、十月二十二日に明治神宮会館で明治維新百五十年記念大会を開催し、約千五百人が参加してゐる。
 明治維新百五十年に際しては、各地でさまざまな行事がおこなはれてゐる。
 【震災復興】福島県神社庁と神道政治連盟福島県本部は、五月二十五日、国と福島県などが検討を進めてゐる復興祈念公園における「子どものお祭り広場」の実現を求める要望書を吉野正芳復興大臣に手交した。



 神社新報社が設立した「時の流れ研究会」は一月二十四日、「天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に伴う式典準備委員会」を政府が一月九日に設置したことなどを踏まへ、「『天皇陛下の御退位及び皇太子殿下の御即位に伴う式典準備委員会』設置にあたり要望」を発表。また、来年の御代替りに伴ふ儀式・祭典のあり方などについて十月一日付で見解を発表した。

(写真)
池田総裁臨席のもと開かれた敬婦の記念大会
全国氏青協の「全国鎮守の森こども相撲大会」
「天皇陛下御即位三十年奉祝委員会」の設立総会
明治神宮会館での明治維新百五十年記念大会