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杜に想ふ 駿馬のやうに 山谷えり子

令和8年01月01日付 11面

 皇紀二千六百八十六年、令和八年が幕開けとなりました。謹んで新春のお慶びを申し上げます。新年を迎へるにあたり、御皇室の弥栄と五穀豊穣、万民豊楽を祈念いたします。
 丙午の本年は、太陽のやうな強い光熱の激しさを力に変へ、逆境を乗り越えていく力を授けてくれる年といはれてゐる。日本では、古くから馬が「神の使ひ」として神社でまつられてきた。そして、かつて神社にささげられた生きた馬の風習に代はり、時代とともに絵に描いた馬となって絵馬となったといはれてゐる。各地の神社に奉納された絵馬には多くの願ひ事や感謝の心がしたためられ、神と絵馬、日本人の長く密接な情のこもった関係が感じられる。国内外の課題が山積する社会であればこそ、今年はキリッと駿馬のやうに駆ける年となるやう願ってゐる。
 私の父は若き頃、満蒙開拓団に入らうと、学生時代は馬術部で活動してゐた。早朝から馬の世話をしながら、馬とも話し合へるやうになり、“馬は徳のある生きもの”と馬を讚美してやまなかった。馬と仲良くなるには、安心感を与へるやうな態度で声かけや手入れをおこなひ、素直に向き合ふ誠実さが肝要だと語り、馬にちなんだことをよく語ってゐた。例へば、人間関係においては「竹馬の友は生涯大切にするんだよ」「馬には乗ってみよ、人には添うてみよ」と言ひ、人生については「馬は逆風を喜ぶ」「人間万事塞翁が馬」等と言ってゐた。年齢を重ねるにつれ、つくづくと深い含みをもった言葉だと思ふ。
 六十年前の丙午の昭和四十一年は、第一次佐藤榮作内閣で、祝日法改正により敬老の日や体育の日が新設され、流行語の、加山雄三のヒット曲「君といつまでも」の間奏のせりふ“しあはせだなぁ”や、てんぷくトリオのコメディアン三波伸介の“びっくりしたなあ、もう”を言ひ合ってのどかに笑ひ合ったものである。流行歌では美空ひばりの「悲しい酒」やマイク真木の「バラが咲いた」、山本リンダの「こまっちゃうナ」などが町に流れてゐたが、高校生の私は、友人がビートルズ東京公演のチケットを手にしたことをうらやましがってゐた。六十年前の丙午は出生率が低下したが、今年は迷信の影響は少ないとみられ、むしろ“自信にあふれてパワフル”などポジティブな特徴が語られさうだといふ。ぜひともさうであってほしい。
 歴史には光と影があるにせよ、長い歴史と文化をもつわが国に誇りを持ち、主権国家の構へをさらに整へ、進取の気性をもって“日本弥栄”と進む一年であるやう皆で心を合はせたい。
 先人への感謝を胸に、国家の安寧、家内安全を初詣の人々と笑顔を交はし祈念できる国に生まれたことは何たる幸ひであらうか。
 元日や一系の天子不二の山(内藤鳴雪)
(参議院議員、神道政治連盟国会議員懇談会副幹事長)

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