神社新報社は昭和21年2月、それまでは国の管理の下におかれてゐた全国の神社が、神社本庁のもとにまとまって民間の信仰団体としての歩みを始めるにあたって、その機関紙として発刊されました。従って創刊当初の本社は神社本庁の組織、神社新報編輯部(編輯部は21年の4月に発足)でした。このやうにして神社新報社は神社本庁初代事務総長宮川宗徳氏を社長に、全国から集まった神社界に好意を持つ新聞記者や技術関係者などが週刊新聞発行の準備を大急ぎで進め、創刊号は同年の7月8日付で発行されました。神社新報社では、この日を本紙の創刊記念日としてゐます。
神社新報はこのやうな経緯から全国神社の唯一の機関紙として神社本庁の中に発足したのですが、神社本庁との密接な関係は維持しながらも、同時に編輯の独立を確保する必要から、昭和22年12月、全国神社関係者が株主になる株式会社組織として独立、いらい現在まで歴史を重ねて来てゐます。
神社新報社はその業務の中心として週刊新聞「神社新報」を発行してゐます。この新聞は全国の神社、総代、氏子・崇敬者をはじめ、広く一般の人々、官公庁、公民館や図書館、宗教関係者、各国大使館などに購読されてゐます。報道内容は神社本庁の活動や全国神社界のニュース、論説、皇室記事、宗教関係ニュース、神道と密接な関係を持つ社会文化記事のほか、神社関係者としての角度から見た時事解説、民俗文化関係のコーナーなど、多彩な内容を盛り込んでゐますが、一貫して「伝統的日本人ならどう考へるか」との視点を貫き、しかも神社関係者の活動の最先端を行くユニークな新聞として評価されてゐます。また、伝統護持の立場から「歴史的仮名遣ひ」であるべきだとの創刊当時の方針を堅持し、現在も尚、「歴史的仮名遣ひ」で発行する全国たった一つの週刊新聞としても有名です。
また、新聞発行の傍ら、神道関係の書籍発行にも力を入れてゐます。神道に関する専門書の多くは神社新報社から発行されてをり、はじめは神社本庁の発行する書籍や、神職資格取得用教科書、参考書などが中心でしたが、現在では一般向けの神道書籍発行、全国神社の発行する書籍の編輯発行の応援など、多方面の出版事業に積極的に取り組んでゐます。
神社新報社の特徴は、神社本庁を母体として発足しただけに、全国神社と密接な関係を持った全国組織となってゐるところです。たとへば神社新報社の発行する株券は一部の神社新報役員の個人持ち株を除いて、すべてが全国神社および関係団体に保有され、役員会の譲渡制限付きになってゐます。これは神社新報の経営権は、どんな場合でも全国神宮神社と密接不離なものにしておかうといふ神社界の意思を示してゐます。また、全国都道府県神社庁がすべて神社新報の各都道府県総局となり、総局長である神社庁長のもと、神社新報の諸活動に御理解御支援をいただいてゐます。仕事は各県下で取材にあたる通信員の推薦(推薦された者を神社新報社で通信員に任命する・現在全国で約600人)をはじめ、神社庁としての取材協力、新聞・書籍の販売協力などです。
週刊新聞「神社新報」月4回 毎週月曜日発行、ブランケット判6ページ通常立て・発行部数5万部、図書頒布(卸)・2億1,532万円(令和5年度実績)。
現在の神社新報社の従業員は、編輯部、総務部合はせて11人のメンバーで運営されてゐます。このほかに編輯部の元幹部からなる「社友会」、論説委員からなる「論説委員会」、「旧社員会」などがあり、日常の業務の運営をおこなってゐます。役員は株主総会(7月に実施)で選ばれます。
株式会社神社新報社
神社界唯一の新聞社として、日本民族の声を代表する週刊新聞を発行し、数々の神道関係優良図書を送り出す。