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【新刊紹介】文化財の未来図 ――〈ものつくり文化〉をつなぐ 村上 隆著

令和6年05月06日付 6面

文化財を次世代へ 継承に必要なこと

 本書は、歴史的な建造物や絵画、彫刻、金工、漆芸などの美術工芸品、つまりそれぞれの時代の伝統的職人芸(ものつくり)によって制作された有形の文化財を中心的テーマとして、文化財保護をめぐる取組みの変遷と近年の課題、そして未来の展望を論じてゐる。

 本書では、明治維新以前から現代に至るまでの文化財保護の変遷が概観されてをり、近年の文化財保護における重要な課題として、過疎化・少子高齢化を背景とする文化財の減失や散逸の防止、文化財の継承とまちづくりへの活用などが指摘される。しかし、とくに重要な課題は「頻発する自然災害から文化財をいかに守るか」。

 神社を護持する我々神職は、同時に文化財の守り手でもある。文化財保護に関する歴史、制度、技術を概観した本書をぜひ御一読いただきたい。
〈税込1034円、岩波書店刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉
(千葉・白幡天神社宮司、専修大学法学部教授 鈴木潔)
関連書籍
[30111077] 文化財の未来図 〈ものつくり文化〉をつなぐ
円(本体価格 940円+税)
村上 隆 著 / 岩波書店
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