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時代の劃期に 神社新報社代表取締役社長 高山 亨

平成30年01月01日付 1面

 平成三十年の新年を迎へ、皇室の弥栄と全国神社の御隆昌を御祈念申し上げます。
 さて旧臘一日に開かれた皇室会議や八日の閣議決定などを経て、天皇陛下御譲位の日が平成三十一年四月三十日に決定され、翌五月一日には皇太子殿下が御即位されることとなりました。政府では本年から、御譲位・御即位・大嘗祭へと続く儀式などの具体的な検討に入ると思はれます。小職が会長を務める社内設置の「時の流れ研究会」では昨年五月以降の四回に亙り、紙面を通じて読者をはじめ関係機関などにその具体案などを示してまゐりました。期日は提案とは異なる日程となりましたが、御譲位・御即位の儀式が歴史・伝統を踏まへて執りおこなはれるやう今後も研究を重ね、積極的に問題提起を続けてゆく所存です。
 また本年は、明治維新百五十年の記念すべき年でもあります。当社では、近代国家を形成した明治の精神を継承するための一助とすべく、昨年には『現行皇室法の批判的研究』を関連法令や関係文献・資料を増補した上で復刊し、本年は明治神宮編『大日本帝国憲法制定史』の復刊と、新刊として『明治憲法の制定史話』(葦津珍彦述)の刊行、紙上では「明治神道人の足跡」などの連載を企画してをり、あらためて明治の精神を顕彰する好機と致したく存じます。
 戦後七十年を経過し、御譲位・御即位へと続くこの二年間は、時代の劃期であります。改元に伴ふ新元号については事前に国民に告知される可能性もあることから、元号使用の啓発活動なども重要課題となりませう。この他にも神社界には多くの課題が山積してをります。とくに人材の育成とその背景となる教学の充実などは、対応が必須な課題であると考へます。役職員一同、神社本庁設立理念の再確認と検証、さらには公の上に存立する神社の意義を熟考し、神道人としての使命を果たしてゆくことをお誓ひ申し上げ、年頭の挨拶と致します。