神さまたちの由来 日本「多神信心」のみなもと 木村紀子著
令和8年05月11日付
6面
古代日本人が持つ 神への意識考へる 著者は奈良大学の名誉教授であり、言語文化論や意味論を専攻。普段我々が唱へ奉る「カミ」の御名の音(声)の意味を記紀や『風土記』『万葉集』といった書物のみならず物語や歌謡などといったさまざまな文献から引用し、古代日本人が持ってゐた神に対する意識を解き明かさうとするのが本書である。
本書の中で、著者は「八百万の神」の意味を数ではなく「ヤ・ホ・ヨロ・ヅ」に分け、全知全能の一神教のカミと異なる「各種能力に秀でた貴い神々の集まり」、すなはち多知多能の神々の集団と読み解く。神々が問題解決のために相寄って知恵を出し合ふことで、平和な世を作り出してきた姿に今日を生きる我々と通じるものがあることは、著者の説く通りであらう。
〈税込1012円、集英社刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉
(兵庫県神社庁事務局長・岩熊利教)
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