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杜に想ふ 共生社会の実現 山谷えり子

令和8年06月01日付 5面

 季節が駆け足のやうな昨今、せめて心をゆったりさせたいと紫陽花の前でたたずんでみる。皇居東御苑の花菖蒲も艶やかな花びらが美しい。ちなみに紫陽花の花言葉は花の色が変はることから「移り気」や「無常」もあるが、「和気あいあい」や「家族団欒」の意味もあるといふ。そして花菖蒲の花言葉は「うれしい知らせ」「優しい心」などなど。六月は雨に濡れる花も葉も静寂を愛でてゐるやうである。
 さて令和七年訪日外国人数は約四千二百六十八万人、在留外国人数は四百十二万人と過去最多を更新中で、今般「外国人との秩序ある共生社会」に向けて入管法が改正された。電子渡航認証制度「JESTA」の創設と外国人の在留に関する手数料の引き上げの改正である。手数料は昭和五十六年以来四十五年間に亙って据ゑ置かれてきた。当時から比べると短期滞在者は二十八倍以上、在留外国人は五倍以上に増えてゐる。来年四月には「育成就労制度」が始まり、より長く就労できる「特定技能」と合はせ政府は令和十年度末までに百二十三万人の外国人受け入れ上限を決めた。厳しく量的マネジメントをして移民国家にはしない。無制限な受け入れはせず厳格、適正なルールのもとでの国づくりをしていかうといふことであるが、国政報告会をおこなふたびに私は多くの不安の声を聞く。また、外食産業や農業、介護関係者からは深刻な人手不足にさらなる増加を望む声を聞き、悩ましい限りである。
 先日、国会で改正案の質問に立ったが、人口減少を補完する移民政策はとるべきではないことと社会の持続的成長のための医療、福祉、産業、農林水産業、インフラといった地域の担ひ手不足に国として戦略性をもったビジョンが必要なことを訴へた。外国人労働力依存のあり方については、立ち止まって考へるべき時であらう。部分的対応にとどまらず、横断的な制度づくり、再構築が必要である。
 課題は多い。違法民泊や医療費不払ひ問題、教育のあり方、外国人による土地取得ルールのあり方、水源地や離島を守ること、国と自治体関係機関の情報共有と連携、DX化など関係省庁にまたがることが多く、費用もかかる。令和九年概算要求は従来のシーリング方式では間に合はない。
 学校に行ってゐない外国人の子供たちは令和六年で八千四百三十二人といふ。クラスの半分が外国人といふ地域もあり日本語指導が間に合はない。自治体が予算を要求しても国の財政支援は少なく、十年後、二十年後の日本はどうなるかと心配する首長の声も届いてゐる。このたびの在留に関する手数料引上げで令和九年度は六百九十億円から九百二十億円程度の増収が見込まれるといふ。外国人との秩序ある共生社会の実現は欧米の例をみても簡単ではない。憎しみの対立にならぬやう、活力ある未来のためどのやうに予算を執行していくか、戦略性をもって取り組み続けたい。
(参議院議員、神道政治連盟国会議員懇談会副幹事長)

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