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論説 防災の日 災害対策の検討・更新を

令和8年09月07日付 2面

 今年も「防災の日」と「防災週間」を迎へた。
 九月一日の「防災の日」は、大正十二年の同日に関東大震災が発生したことや昭和三十四年九月の伊勢湾台風などを踏まへ、同三十五年の閣議了解によって定められた。同五十七年には「政府、地方公共団体等防災関係諸機関をはじめ、広く国民が、台風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波等の災害についての認識を深めるとともに、これに対する備えを充実強化することにより、災害の未然防止と被害の軽減に資するため」として、改めて「防災の日」とともに「防災週間」を設けることが閣議了解されてゐる。さらに翌年には「防災週間」を八月三十日から九月五日までとすることが中央防災会議で決定した。
 「防災の日」と「防災週間」に際しては、防災に関する各種の啓発活動などが各地で実施されてゐる。この機会に、斯界においても防災、災害対策のあり方について改めて考へたい。


 今年も山林火災や大雪による被害をはじめ、七月の令和八年熊本地震、令和八年八月千葉豪雨、さらにその後の石川・富山・福井などでの大雨を含め、各地で自然災害が相次いでゐる。
 このうち熊本地震は、平成二十八年の地震から十年の節目にあたって発生。この十年でやうやく復興を遂げたにも拘らず再び被災したり、復興途上の被災によりその遅れを余儀なくされたりしてゐる事例もあるといふ。猛暑のなかでの避難生活や復旧作業を含め、被災者の辛労辛苦は想像に余りある。
 また千葉豪雨では、短時間に大量の雨が降ったことで下水道など排水施設の処理能力が限界に達し、いはゆる内水氾濫により被害が拡大。住戸の床上・床下浸水などに加へ、複数の死者が生じた事例もあったやうに水没・立ち往生した車輛の多さが特徴的だった。
 改めて犠牲者に哀悼の誠を捧げ、被災者に衷心よりお見舞ひを申し上げるとともに、被災地の一日も早い復興を祈念するものである。


 今回の熊本地震では十年前と同じく神社にも甚大な被害があり、本紙前号に掲載の通り、神社本庁では被災神社の速やかなる復旧に資するべく神社義捐金の募集を始めてゐる。
 かうした義捐金の募集と贈呈に加へ、神社本庁ではかねて災害対策として、被災した神社等に対して迅速な慰藉を図る災害慰藉規程、本殿等の滅失・倒壊等に際して支援金を交付する神社復興支援基金に関する規程、災害復旧や災害防止のために必要な資金を貸し付ける神社本庁災害等対策資金貸付規程などを制定・運用し、その充実にも努めてきた。
 また例年、全国各都道府県の神社庁長宛に自然災害への取組みについての通知を発出し、不時の災害を見据ゑた事前対策の事例を示した上で、その検討などを含めて災害発生時の対応に万全を期すやう周知徹底を要請。このほか平成二十七年には、神社本庁における災害危機対応の基本的な姿勢やこれまでの対応、神社庁・神社における災害発生時の対応や平時から備へておくべき点、先進的な対応事例などを纏めた冊子「神社本庁災害対策要領~平時の備へと災害時の心得、対応について~」を作成してゐる。
 かうした神社本庁の施策・制度・取組みなどを再確認しつつ、災害の未然防止と被害軽減のため、平素から万全の備へをしておきたい。


 振り返れば今回の熊本のやうに、能登や新潟なども相次いで大規模地震に見舞はれ、また福島は東日本大震災にともなふ原発事故といふ極めて特殊な事情から、現在もその影響に苦しめられてゐる。その福島では原発事故によって過疎化が加速したとの声が聞かれ、また能登では過疎地における災害復興の難しさが課題ともいはれた。
 昨今は各地で過疎化が進行し、神職・総代の後継者不足なども問題となってゐる。神社の基盤である地域社会・氏子地域が衰頽するなかでの自然災害による被災は、今後の神社の護持運営、ひいてはその存立を脅かすことにも繋がりかねない。
 「未曽有」「記録的」「百年に一度」などと称されるやうな自然災害が各地で相次ぐなか、斯界における災害対策について、引き続き常に検討・更新していくことが重要なのではなからうか。
令和八年九月七日

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