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【新刊紹介】長崎偉人伝 長月庵若翁 久田松和則著

令和8年10月26日付 6面

雲の如く捉へ難い 歩みを一本の線に

 眺めて飽かぬ秋雲に、夏の俤はすでにない。あてどなく漂ふ雲に誘はれて、旅に出たのは芭蕉である。「片雲の風にさそはれて、漂泊の思ひやまず」(『奥の細道』)つひに郷里を後にして、風雅の道を志す。その芭蕉を追慕して、俳祖の顕彰に尽力したのが本書の主役・長月庵若翁だ。若翁の足跡は柏原(長野県)に今治(愛媛県)、長崎に尾道(広島県)に伊賀上野(三重県)と幅広く残り、その実像は長らく霞がかってゐた。
 本書はさうした若翁に対し、極めて実証的な見地から、地道に足取りを辿った伝記である。

 本書が長崎の偉人を伝へる物語として、広く読まれることを強く願ふ。
〈税込1980円、長崎文献社刊。ブックス鎮守の杜取扱書籍〉
(金沢工業大学基礎教育部修学基礎教育課程講師・平泉紀房)
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