文字サイズ 大小

論説 新たな力との連携・協力を 沖縄で総代会設立

令和8年10月26日付 2面

 今号掲載の通り、沖縄県神社総代会の設立総会が十月十日、那覇市内のホテルで開催され、県内神社の役員・総代など約五十人が出席した。
 昭和四十七年五月十五日の沖縄の本土復帰と、それにともなふ同日の沖縄県神社庁設立から半世紀余り。現任の大山晋吾県神社庁長が「先人たちの長年の悲願だった」と語る総代会の県連組織がつひに設立された。沖縄は他の都道府県に比べて神職や役員・総代の数が少なく、組織的な活動展開における労苦は想像に余りある。まづ以て、このたびの総代会県連組織の設立を慶ぶとともに、その実現に漕ぎつけた関係者の尽力に敬意を表したい。

○

 総代会をめぐっては、昭和二十五年の第五回神社本庁評議員会において、「全国の神社総代は、その責務を完ふするために、地方神社庁と緊密な連繋を保ちつつ、相互の連絡親睦を図る目的を以つて地域的に、又全国的に総代会を結成する」「総代会は先づ下部組織として市、町、村から順次郡、県、全国と連合組織を図る」ことなどを盛り込んだ「神社総代会結成に関する決議」がなされた。
 この決議を踏まへて各地で総代会組織の結成が進められ、同三十年からは神社本庁十周年記念事業の一環として全国神社総代会連絡会議が開催されるやうになり、さらに、その会議を恒常的な組織として発展・連合させる形で同三十三年に全国神社総代会が設立されてゐる。さうしたなかで都道府県組織も順次結成されていったが、当時、米国施政下にあった沖縄は、本土復帰後も県連組織の設立にまでは至ってゐなかった。
 今回の沖縄県神社総代会の設立を以て、都道府県単位の総代会がすべて組織されたことになる。それは、終戦間もない占領期に始まった総代会の組織化の動きから、全国神社総代会をはじめ各地での総代会の設立、さらには沖縄の本土復帰・県神社庁設立などを経て、その決して短くない歳月のなかで先人たちの思ひが繋がった結果といへよう。

○

 設立総会においては、全国神社総代会会長の祝辞を同会事務局長の吉川通泰神社本庁副総長が代読。斯界において現在、令和十五年に予定される第六十三回神宮式年遷宮の完遂に向けて神職・総代が一丸となって取組みを進めてゐることなどを紹介した。その上で、少子高齢化や過疎化、さらには都市部への人口集中が進み、多くの地域で共同体の衰頽が危惧されるとともに、神社の後継者不足や祭礼の担ひ手不足といった問題が顕在化し、わが国の伝統文化の継承が危機に瀕してゐることを指摘。「かうした諸事・諸課題を見据ゑ、斯界にもなほ一層の連帯が求められるなかにあって、このたびの沖縄県神社総代会の設立は洵に頼もしく、設立に携はられた関係各位に対し、改めて感謝と敬意を表する」との思ひを述べてゐる。
 また、同じく来賓として祝辞を述べた田中恆清神社本庁総長は、自身が神道青年全国協議会の会長を務めてゐた頃の沖縄での活動などを振り返るとともに、全国神社総代会の大会が来年は青森県で開催されることを紹介。沖縄からの大会参加を呼びかけつつ、「全国の皆さんと一緒に神社界を盛り上げていってほしい」と訴へた。斯界が当面する諸事・諸課題への対応にあたり、沖縄の役員・総代には全国神社総代会はもとより神青協、地元・神青会など関係諸団体との連携・協力も期待されよう。

○

 設立総会にあたり選任された久保田照子総代会会長は、「本日御参集いただいたお一人お一人のお力をお借りして素晴らしい会に育ててまゐりたい」と述べて関係者の支援を要請。まづは県連組織、さらには全国組織や関係諸団体との関係性のなかで、沖縄の役員・総代の新たな力が存分に発揮されることを切に望むものである。
 加へて、当日は香取大信神社本庁教化広報部長が「沖縄県神社総代会の設立に寄せて―神社総代の使命について―」と題して講演した。昭和二十五年の「神社総代会結成に関する決議」から七十六年を経て、神社をめぐる社会環境は大きく変化してゐる。都道府県単位の総代会組織がすべて揃ったこの機会に、役員・総代による連合組織の結成を目指した先人たちの思ひを顧み、その使命を再確認するやうなことも重要なのではなからうか。
令和八年十月二十六日

オピニオン 一覧

>>> カテゴリー記事一覧